日本の自動化・スイッチ変遷、逆説の日本史
接触?非接触?誰も書かなかった
目からウロコ、スイッチ選択の大事なポイント
株式会社メトロール代表取締役会長、
技術士。
CNC旋盤刃先セッタの開発で、1993年に田邊発明功労賞を、
1997年には科学技術庁長官賞を受賞している。 ×
中央大学工学部精密工学科卒、
技術士。
中小企業大学講師、自動化推進協会理事、融合化・テクノポリスアドバイザー、技術士試験要員を歴任。生産ライン等の自動化システムにおいて指導者的立場に立つ。
著書に「わかるスイッチ技術」(工業調査会刊)各種技術誌への論文や講演も豊富。
スイス、スペイン、ロシアでの自動化システムの指導など国際的にも活躍している。
昔のスイッチは故障しやすかった
今日はスイッチの選び方を中心に色々お話をうかがいたいと思います。
先ず、昨今はスイッチ時代といわれるようにいたるところスイッチ、スイッチがあふれています。
その中で我々が扱うのは位置検知・寸法判別用ですが、それでもかなりの機種があります。
佐々木:メーカーさんも迷われるかも知れませんが、ユーザー側はなおのこと悩むケースは多いですよ。
今日はひとつスイッチの選び方のコツについて原点に立ってお話ししましょう。
私が社会に出た頃、40年位前には今日程自動化は進んでいませんでした。
松橋:その頃はリミットスイッチ、マイクロスイッチが全盛。
佐々木:そうです。一部には接点を使ったシグナルゲージ、シグナルインジケータのような計測器も売り出されてはいたのですが、単体では他に心当たりがありませんね。リードスイッチがあったかどうか。
リミットスイッチは交流100Vで使われますから接点が電蝕や熔着を起こすなど長寿命とはいえませんでしたね。その上、水や油のかかる生産ラインで使用に耐える防水対策も進んでいませんでしたから、なおさら故障し易かったことを覚えていますよ。
松橋:それが、接点式スイッチが悪者扱いされる原点。今でも尾を引いている。(笑)
近接センサは「触らぬ神に祟りなし」
佐々木:そのようなことから計測器では接点のない差動トランスなどを使った電気マイクロメータが拡がりはじめました。そのうち数値制御やシーケンサが世に出て、低電圧、低電流が常用電源になり、非接触無接点のスイッチがどんどん使われるようになりましたね。
松橋:ファイバーなどもできて、今では近接センサが圧倒的シェアを持っていますね。
どうしてそうなっているか、私が感覚的に考えていることなのですが、先ず生産ラインでかなり多いのは物があるかないか、数をカウントすること、これは人が見ても分かることですが、これを自動化するのが手っ取り早い。それには近接センサが有効です。
しかも触らないでできる。
佐々木:それに出力部があります。自動化には電気信号がつきものですから接点式では接点同志が接触して電気を流す。
前に言いましたように、接点トラブルが起こる要素があります。それがダイオードなど電子回路を使うと接点なしで出力でき、接点から解放される。
めでたし、めでたし。(笑)
松橋:物にも触らない、接点がないから接点同志が触ることもない。こんなよいことありませんよね。まさに「触らぬ神に祟りなし」ということですね。(笑)
佐々木:今言われた役目というのは識別の機能で、ON/OFFの信号さえ出ればよいわけで、設計者もあまりスイッチの取付けに神経を使わなくて現場まかせにでき、気楽に使えます。
本当はそのため取付け状態が悪くて、チョコ停の原因にもなっているのですがね。「知らぬが仏」ですよ。なんでも非接触式センサというには無理がある
計測機能が必要な場合は接触式
松橋:しかし世の中には単にある、なしの識別だけではありません。
許容値から大きいもの、小さいものにわけて、ある、なし、つまりOK、NGに判別する。
ある位置まで達しているかいないかで判別することもあり、そこに計測機能が求められます。
佐々木:計測機能が必要になってくると何でも非接触というわけに行かないことが起こってきます。良否の判定でも光学式で、レーザ反射式とか電磁誘導式など非接触は使われていますが、光学式ではワークの表面状態であるとか面の傾きがありますと正確な計測はできない。
また、電磁式だとワークの材質とか鉄粉付着などの影響を受けます。
具体的事例としては、鉄骨加工工場で非接触式磁気スイッチを使用したしたところ、ワークに付着している鉄粉により誤検出し、誤動作が発生して機械を壊してしまいました。
また、光センサを使用した自動機に窓から太陽光が入り誤動作したために、窓を遮蔽版で防いでいる例もあります。これらは接触式センサに変えたら一発で問題解決。
松橋:いよいよ接触式センサの出番ですね。当社が25年前にトヨタ自動車さんと多クラス寸法判別スイッチを共同開発した時に内蔵させたスイッチには接触式センサが最適として採用しました。
以来、当社はずっと計測機能を重視して、全製品接触式に限定しこだわり続けています。
非接触式センサにくらべて市場が小さいことは承知の上ですが。
接触式センサと非接触式センサ、トータルコストで判断
佐々木:さっき非接触式で問題点の一例をお話ししましたがもう少し付け加えますと、非接触式センサで不適な場合にも無理に使用した場合の例をお話ししましょう。
例えば先の尖った物の場合、ワークの表面近くに障害物のある場合どうしますか。
多分レバーを介し離れた場所に近接センサを当てることになるでしょう。
そうするとレバーの設計・製作が必要になりますね。
レバーの軸受、バネ、コンタクト部分など精度や信頼性にかかわりますから、設計に神経も使うしコストもかかります。この追加部に要する設計製作コストは多分スイッチの購入費を上回るケースが多いのではないでしょうか。
トータルとして考えれば接触式センサとなってしまっているわけです。
はじめから接触式センサを使えば先端コンタクトを変える程度ですみますから、この両者のコスト計算をすればどちらがよいかは誰でも分かりますよね。
松橋:普通、購買部門はスイッチの購入価格だけを問題としますが、この追加製作費やメンテナンス費用を含めたものがトータルコストになるわけで設計や生産技術者が原価計算すべきことです。この辺はコスト低減の盲点ではないでしょうか。
接触式センサを使う上での3つの注意点
佐々木:接触式センサの良いことだけお話ししましたが、短所も付け加えますと、可動部がありますので応答性に限界があること、メタル軸受形は検出体を斜に当てると軸受の磨耗やカジリを生ずることがあること、水、油、ゴミなどの使用環境に適した保護構造の機種を選ぶことなどがあげられますね。
松橋:計測機能を生かすためには、単純な識別のための近接センサとは違った取り扱いに気をつける必要があると思うのですが。
佐々木:いくつかあげてみましょう。これは接点、無接点を問いません。
第1は設計です。
接触式センサは信号動作点がプリトラベルいくつと明示されていて近接センサのように相手の材質や周囲の明るさなどに左右されることがありません。
ですから、CAD図できちんと図示し、現場まかせにしないのが本来の設計で、信頼性向上に通じます。
第2は信号設定の正確さで、合否判別の精度に影響します。
その誤差は良品を不良と判定する第一種の過誤、不良品を良品と判定する第二種の過誤の原因になり、ひいてはコストに現れます。
そのためにはブラケットは接触力や固定のためのロックの力でたわまない剛性が必要です。
また、いくらCAD図で指定しても部品の製作誤差で最後の微調整は必要になりますから、現場での作業が容易な機構が必要です。
第3はクランプです。
信号設定が済んだら、ゆるまないようクランプが必要です。
特に小ネジやナットによる時はクランプの瞬間に僅かずれる恐れがあります。
一例ですが、外径が円筒の場合、ブラケットを割り締めし、半クランプ状態で微調整を横方向からロックする方法、測微計やダイヤルゲージでよくやる方法はおすすめです。
松橋:特に狭い場所や手の入りにくい場所での微調整は難しい場合があります。
当社の多クラス寸法判別スイッチCSCは小形のため、信号調整ネジを回すのはかなり難しい場所が予想されるので、今度外段取りで信号点間隔を予めセットし、機内では一信号についてだけスイッチ本体を微調整する方法の治具を用意しております。







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