【開発秘話】 CSタッチスイッチ〜防水・堅牢性の秘訣とは?

〔H〕と〔P〕の新製品

全方向からのワークの当りに対応する、CS-タッチスイッチ〔CSHシリーズ〕。
形式の〔H〕は「偏角当り」が由来。
振動と衝撃に強い「リニアブッシュ軸受け」を採用した、メトロールのロングセラー製品です。

2014年、その〔CSHシリーズ〕に、IP67の新製品〔CSHP〕が加わりました。
防水・耐クーラント性の高さを、末尾のPが証明しています。

新タッチスイッチ、開発の原点

ワークを偏角に当てても壊れない、タフな「精密位置決めスイッチ」として、
〔CSHシリーズ〕は、発売以来、順調に販売数を伸ばし、お客様の支持を得てきました。

しかし、既存品はIP65と完全防水ではなく、外径もM12と少し太め。
「切削油が飛び散る場所で、使えない。」
「M12じゃ、取付けスペースがない。」

偏角当り対応の位置決めスイッチに需要はあるのに、お客様のニーズに必ずしも応えられていない…。
そんな歯痒さが、〔CSHP〕の原点にありました。

ロングヒット、誕生の予感

①耐悪環境、②全方向からのワークの検出に耐えうる堅牢性、③高精度、④小型。
700種類に及ぶメトロールセンサの製品群にも、この全ての条件を満たす位置決めスイッチは、未だない。

防水性と堅牢性を兼ね備えたスイッチは、まさに「無敵」。
エンジニアSを中心に、〔CSHP〕の製品開発は動き出します。

溺れる試作品…?

試作をはじめて間もなく、外径M12からM8にスリム化されたニューモデルは完成します。
特徴の「リニアブッシュ軸受け」は、細身かつ堅牢なものに改良しました。

順調に見えた開発に立ちはだかったのは、防水性の問題でした。

IP67の防水試験は、スイッチ内部にエアによる圧力をかけて、水に沈めるというもの。
完成した試作品は全て、どこからか空気が漏れ、気泡が湧き出ていました。

これでは、防水性が保証できない。
IP67、スイッチは密閉されているはずなのに…。

一体、どこから…?!

防水の砦、ゴムブーツ

空気の抜け道は、ゴムブーツにありました。

メトロールのゴムブーツは、防水ノウハウが詰まった特注品。
原料を特別な割合で配合して、耐水だけでなく耐クーラント性を追究したものです。

原因は、ゴムブーツの「つぶし具合」でした。

ゴムブーツの両端をブーツリングで押しつぶすことで、スイッチの密閉性を高める仕組みなのですが、
つぶし具合が足りず、わずかな隙間が生まれ、そこから水が浸入してしまっていたのです。

しかし、反対につぶしすぎても、組立上の問題が生じます。
ゴムブーツが硬くなり、入りづらくなるため、ゴムの破損を招いてしまうのです。

手探りの攻防戦

緩すぎず、硬すぎない。
そんな理想的なゴムブーツのつぶし具合に辿り着くため、
ブーツリングの形状を工夫しながら、繊細なせめぎ合いを繰返しました。
M8のスリムな外径が、その駆け引きを一層シビアにします。

作っては、沈め、作っては、沈め…。

ゴムブーツを破らずに組立ができる限界と、浸水する隙間のできない限界。
その境界線をひたすら追い求め、ようやく答えを探り当てます。

そして、クーラントのたっぷり張った水槽に沈めて行う耐切削油試験。
ゴムブーツは見事に油の浸入を防ぎ、耐切削油においても、IP67を実証したのです。

洗練を重ねて

防水の証「P」がその名に加わり、〔CSHP〕が誕生しました。

水やクーラントが直接かかる悪環境下でも、
ワークが横から当っていても、繰返し精度は、5μm。

2ヶ月以上、度重なる耐久試験を続け、精度寿命も1000万回を保証しています。

高精度で長寿命。
〔CSHシリーズ〕の良さが、そのまま受け継がれています。

向かうところ、敵なし!

防水と堅牢を兼備し、外径もM12からM8へと大幅にスリム化。
従来品からは見違える姿形で、新製品〔CSHP〕はデビューしました。

スリムで、悪環境に強く、ワークの当て方を限定しない。
迷ったらコレ!
この使い勝手こそ、〔CSHP〕が誇る本当の「タフネス」です。

「使えない環境なんて、ない」
開発エンジニア自身が断言する、その性能。
〔CSHP〕に、死角はありません。