ベンディングマシンとは？
種類や特徴についてわかりやすく解説

更新日：2025年05月29日 (2024年08月26日公開)

出典：はじめての工作機械

Point

✅ 板金機械のメインプレーヤー
✅ 金型で板材を打ち抜くパンチプレス
✅ 金型で板材を曲げるベンディングマシン

板金加工とは

板金加工とは、金型を使って金属の板材にさまざまな形状の穴を開けたり、曲げ加工をしたりして、目的の形状を作る加工法だ。工程は多岐にわたり、一般には

①板材の切断
②穴加工や打ち抜き加工
③曲げ加工
④溶接や塗装、組み立て
の順で立体物を製造することが多い。

プレス加工にも曲げや穴開けがあるが、プレス加工は一般的に大量生産が前提で、成形品の形状に合わせた専用の金型を使う。これに対し、板金加工で使うのは汎用的な金型で、少量生産がメインだ。
板金加工と聞くと、自動車の外板の修理をイメージするが、ここでは金属の薄板を加工して電子機器や各種機械、家電製品の筐体（きょうたい）や部品を製造することを意味する。主にパンチプレスやベンディングマシン、レーザ加工機などの機械が使われる。

パンチプレス

1. パンチング加工とは

パンチング加工は板金加工の一種で、金型を使って金属の板材をせん断する加工法だ。せん断は、はさみで紙を切るイメージに近く、金型で金属の組織を上下にずらして分離することを言う。穴開け加工や打ち抜き加工（ブランキング）とも呼ばれる。材質と板厚によって、加工力の大きさが変わる。せん断する距離が長く、板厚が厚いほど大きな加工力が必要だ。

2. パンチプレスとは

パンチプレスとは、パンチ（上型）とダイ（下型）からなる1組の金型で、板材の打ち抜き加工をする機械だ。板金加工の最初の工程で使われる。加圧力は20t〜30tが多い。

板金加工では通常、1枚の板材にさまざまな形状の穴を開けたり打ち抜いたりすることが多く、パンチプレスには多種類の金型が必要だ。金型交換も迅速でなければならない。通常は50種類ほどのパンチを大きな円盤状の上部タレットに、同じく50種類ほどのダイを下部タレットにそれぞれ格納し、上下のタレット間に板材を挟み込んで加工する。

こうした機械を「タレットパンチプレス」と言う。「タレパン」の略称で呼ばれることも多い。
パンチプレスの加工精度は、この2枚のタレットの位置決め精度と、材料の位置決め精度で決まる。

加圧するエネルギー源でパンチプレスを大別すると
①機械式
②油圧式
③電動式
の3種類に分かれる。

機械式は機械プレス、油圧式は油圧プレスに近い性質を持つ。油圧式は打ち抜きの時間を制御できる。また、機械式に比べて打ち抜き加工時の騒音が小さく、打ち抜きのパターンもコントロールできる。
電動式は、環境配慮を重視して少ない油、または油を全く使わずに駆動することを目的に開発された。油圧式から電動式への移行が進み、板金加工の現場で普及しつつある。パンチプレスの他にも、金属の板材に穴を開けたり切断したりするのにレーザ加工機も使われる。

3. 工程集約や自動化

パンチプレスの中には打ち抜き加工に加え、成形加工やタップ加工もできる工程集約型の機械もある。レーザー加工とパンチング加工を複合化した機械も市販されている。
この他、1台のパンチプレスに周辺装置を連結した自動化システムもある。こうした自動化システムには、周辺装置だけではなくシステム全体を最適にコントロールするソフトウェアも不可欠だ。複合化や自動化に加え、ITやデジタルデータを生かして工程を統合し、変種変量生産に対応するシステム化も進んでいる。

ベンディングマシン

1. 曲げ加工とは

さまざまな金型を使って、板材を目的の形状と寸法に折り曲げる加工を、曲げ（ベンディング）加工と呼ぶ。曲げ加工をする機械がベンディングマシンだ。
曲げ加工とは、基本的には板材を直線状に折り曲げながら、立体的な製品に仕上げる加工法だ。金型の段取り替えの多さや加工手順の複雑さから、経験豊かな熟練職人に頼る部分が板金加工の中で最も大きい。

曲げ加工のプログラムを自動で作成するのは難しく、板金の工程では曲げの自動化が最も遅れていると言われる。しかし、デジタル化の進展で、今ではロボットを使った自動化システムも販売されている。

板材の曲げ加工の方式は、曲げられた材料の断面形状で
①V曲げ方式
②L曲げ方式
③U曲げ方式
④R（ラジアス、半径）曲げ方式
の名称が付く。

V曲げはV溝の金型を使ってV字状に板材を曲げる加工法で、L曲げは板を押さえ込んで板材の端部をL字状に曲げる加工法だ。U曲げはU字形状のパンチと、パンチと同じ形状の溝が彫られた雌型に板材を押し込み、U字状に曲げる。R曲げは専用の機械を使い、3本のロールで大きなR形状を作る加工法だ。
V曲げ方式は板金加工業界で最も採用される汎用性の高い方式で、L曲げがそれに続く。U曲げはワーク（加工物）ごとに専用の金型を製作することが多く、汎用性は低い。

2. ベンディングマシンの種類

ベンディングマシンには多彩な種類があるが、板金加工の現場で使われるのはプレスブレーキやパネルベンダーだ。対象のワークが板材ではなくパイプの場合は、パイプベンダーを使う。

（1）プレスブレーキ

V曲げ方式の代表的な機械がプレスブレーキだ。V字形状の上型とV字形状の溝が彫られた下型を合わせた1組の金型で板材を挟み込み、加圧することで任意の角度や形状に曲げる。
プレスブレーキにロボットや自動金型交換装置を組み合わせ、システム化した製品も多い。材料の搬入から搬出までの一連の作業や金型の段取り替えを自動化して長時間の無人加工を実現し、生産性を高めている。