5軸マシニングセンタとは?
種類や特徴についてわかりやすく解説

出典:はじめての工作機械

Point

✅ 直線3軸に回転2軸を加えたマシニングセンタ
✅ 割り出し5軸と同時5軸の2種類の加工法
✅ 複雑な形状のワークも加工できる

5軸マシニングセンタとは

5軸マシニングセンタ(MC)は、X軸、Y軸、Z軸の直線3軸に回転軸を2つ加えたMC。動かすことのできる軸が全部で5つあるため「5軸」と呼ばれる。
回転軸は一般的にA軸、B軸、C軸の3つがあり、X軸周りの回転軸をA軸、Y軸周りをB軸、Z軸周りをC軸としている。5軸MCは、直線3軸とA軸、B軸、C軸のうちの2軸の組み合わせで構成される。


5軸MCは回転軸の組み合わせで、①主軸頭旋回型②テーブル旋回型③混合型——の3つのタイプに分けられる。
主軸頭旋回型は、切削工具を取り付ける主軸側に回転軸を2軸付加したタイプの5軸MC。比較的大物のワーク(加工物)の加工に力を発揮する。


テーブル旋回型は、主軸側ではなく、ワークを搭載するテーブル側に回転軸を付加した5軸MC。小型の5軸MCに比較的多く見られる構造だ。ゆりかご型と片持ち型の2種類があり、ゆりかご型は回転するテーブルを機械の両側から支えて傾けるもので「トラニオンタイプ」とも呼ばれる。片持ち型は回転テーブルを片側だけで支え、傾斜させる。
混合型は、主軸側とテーブル側に1軸ずつ回転軸を追加したタイプの5軸MCだ。

5軸マシニングセンタ 主軸頭旋回形
主軸頭旋回形
5軸マシニングセンタ テーブル旋回形
テーブル旋回形
5軸マシニングセンタ 混合型
混合型

5軸加工の種類

5軸加工には大きく分けて①割り出し5軸②同時5軸——の2種類がある。

1. 割り出し5軸

割り出し5軸は、2つの回転軸を使ってあらかじめ主軸側やテーブル側に角度を付けてから、通常の直線3軸で加工することを指す。
割り出しとは、回転軸を目的の角度まで正確に動かすことを意味する。
直線3軸のMCではワークを固定するためのジグの形状を工夫しないと加工しにくい斜め穴なども、主軸やテーブルにあらかじめ角度を付けておけば簡単に加工できる。

2.同時5軸

同時5軸は、5つの軸を同時に動かして加工すること。3軸MCでは難しい複雑な形状も加工できるのが特徴だ。
例えば、ポンプや航空機のエンジンにはインペラーと呼ばれる部品が使われる。インペラーは「羽根車」を意味し、扇風機の羽根のような滑らかな曲面形状の羽根が軸上に多数付いている。


加工中に主軸や工具保持具(ツールホルダー)がワークとぶつかることを干渉と呼ぶが、3軸MCを使った直線的な加工だけでは干渉が起きるため、インペラーの加工は極めて難しい。
これに対し同時5軸なら、主軸やテーブルの角度を逐一変えられるため、インペラーなどの複雑形状の部品でも干渉を起こすことなく加工できる。

5軸MCでの加工の様子
5軸MCでの加工の様子

5軸加工のメリット

5軸加工のメリットは多数ある。特に大きな利点は、ワークをテーブルに一度取り付けるだけ、つまりワンチャッキングで最大5面を加工できることだ。
3軸MCで5面を加工する場合、何度もワークを取り付け直す必要がある。この作業を段取り替えと言うが、5軸MCは段取り替えの回数を削減できるため、3軸MCに比べ加工効率が大幅に向上する。
段取り替えのために別途ジグを用意する必要も省け、生産コストも抑えられる。


また、段取り替えを繰り返すと、ワークの取り付け精度に誤差が出てしまう。そのため、段取り替えの回数を最小化できる5軸加工は取り付け誤差を最小化でき、加工精度も高められる。


この他、切削工具の突き出し長さを短くできるのも5軸加工のメリットだ。
3軸MCでは、高低差が大きく深い場所などを加工する時、主軸やツールホルダーの干渉を避けるために切削工具の突き出し量を長くして加工しなければならない。

立形5軸マシニングセンタ
立形5軸マシニングセンタ

横形5軸マシニングセンタ
横形5軸マシニングセンタ

しかし、切削工具は突き出し量が長くなるとたわみやすくなり、加工中に振動を起こし、ワークの表面精度や寸法精度が悪化する。
一方、5軸MCは主軸やテーブルを傾けて加工することができるため、突き出しの短い工具でも深い場所を加工でき、加工精度を維持できる。
数多くのメリットがある5軸加工だが、課題もある。
まず、5つの軸を制御する分、3軸加工よりも高度な制御技術が必要なこと。


また、扱う軸数が増えると工具経路のプログラム作成が難しくなるため、高機能なCAMソフトウェアも欠かせない。CAMとは加工用のNCプログラムを作成するソフトだ。
この他、各軸の小さな誤差を積み重ねた「累積誤差」が大きくなるのも問題視されている。
こうした課題に対し、5軸MCを開発する工作機械メーカー各社は、加工精度や制御技術の向上に力を入れる。プログラム作成の効率化など、使いやすさの向上も追求している。

出典:はじめての工作機械

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