複合加工機とは?
種類や特徴についてわかりやすく解説

出典:はじめての工作機械

Point

✅ 旋削やミーリングなど、異なる複数の加工法を1台に
✅ ワンチャッキングで加工精度を維持
✅ 段取り作業の削減で数多くのメリット

複合加工機とは

出複合加工機とは、回転するワーク(加工物)に対しバイトを押し当てて加工する旋削や、回転する切削工具を使って固定したワークを加工する転削(ミーリング)など、機能や特徴が異なる複数の加工法を1台にまとめた工作機械の総称だ。

複合加工機
複合加工機

複合加工のメリット

複合加工機の最大のメリットは、機械にワークを一度取り付けるだけで、さまざまな加工ができること。
一つのワークを素材から完成品にまで仕上げるには、旋削やミーリング、穴開け、研削などさまざまな加工をする必要がある。旋削にはNC旋盤、ミーリングや穴開けにはマシニングセンタ(MC)、研削には研削盤と、通常はそれぞれの工程に合わせて最適な工作機械を使い分けている。
そのため、チャッキングと呼ばれる、工作機械にワークを取り付ける作業を何度もやらなければならない。だが、チャッキングを繰り返すたびにワークの取り付け位置に誤差が生じ、それが積み重なって最終的な加工精度に大きく影響する。


これに対し、複合加工機は複数の加工を1台に集約できるため、チャッキングの回数を最小化できる。そのため、複数の工作機械を渡り歩くことで生じるワークの取り付け誤差を抑制でき、加工精度を維持できる。
チャッキングを含めた加工前の準備作業を総称して段取りと呼ぶ。複合加工機を使えば段取りの作業が1台分で済み、作業者の手間も削減できる。少ない段取り回数で完成品まで加工できれば、製造リードタイムを短縮でき、仕掛かり品の在庫も圧縮できる。仕掛かり品とは製造途中の製品を指す。
複数台の工作機械を持つ必要がなくなるため、省スペース化も実現できる。


さまざまなメリットがある複合加工機だが、デメリットもある。例えば、加工プログラムの作成が難しいこと。1台で多様な加工ができる分、制御するべき軸の数が増え、複雑なプログラムになりやすいのはイメージできるだろう。
この他、NC旋盤などと比べると機構が複雑で、価格も高価になりがちだ。

旋盤ベースの複合加工機

1. ターニングセンタ

ターニングセンタ(TC)は、ドリルやタップ、エンドミルなど回転工具用の主軸をくし刃やタレットに搭載した、NC旋盤ベースの複合加工機。旋削に加え、ミーリングや穴開けも1台に集約できる。
TCではタレットにビルトインモーターを搭載するタイプが多く、外観上はNC旋盤に近い。ビルトインモーターとは、装置などに内蔵されたモーターを意味する。

2. 旋盤形複合加工機

TCは回転工具用の主軸がタレットなどの刃物台上にあるのに対し、旋盤形複合加工機は回転工具用の主軸頭を持ち、その主軸頭が旋回するのが特徴だ。主軸頭が旋回するため、複雑な形状のワークも加工できる。


旋盤形複合加工機の中には、生産性を向上させるため、旋回する主軸頭とは別にタレットを備えた機種もある。また、ワークを取り付ける主軸を左右に備えた対向2スピンドルタイプの機種もある。


この他、歯車加工に使うホブカッターやギアスカイビング用の工具なども取り付け、1台で旋削やミーリングに加え、歯車加工もできる機種も販売されている。

複合加工機の加工室内
複合加工機の加工室内

その他の複合加工機

1. MC形複合加工機

MC形複合加工機はMCをベースに、旋削など他の加工法を取り込んだ複合加工機だ。
MC形複合加工機は、テーブル側に2軸を持つ5軸立形MCをベースに、旋削機能を付加したものが多い。
円テーブルを高速回転させれば、立旋盤の要領で旋削もできる。


しかし、旋削加工をするには、通常の円テーブルよりも高速回転が求められる上、バイトの抵抗に負けない強力なトルクも必要だ。そのため、テーブルに内蔵したモーターから直接回転力を得るダイレクト・ドライブ・テーブルを採用する場合が多い。
また、研削機能を持ったMCベースの複合加工機もあり、グラインディングセンタと呼ばれる。
ガラスやセラミックスといった硬くてもろい硬脆材や、焼き入れ鋼などの高硬度材の加工に広く使われる。

2. 異種加工の複合加工機

放電加工やレーザー加工、付加製造(アディティブ・マニュファクチャリング、AM)技術など、切削以外の加工法と切削加工を組み合わせた複合加工機もある。
中でも、最近はAM技術と切削加工を組み合わせた複合加工機が注目されている。AM技術とは3Dプリンターのように、薄く敷いた金属粉末や、ガスと共に供給した金属粉末をレーザーで焼き固め、積み上げることで立体形状を作る技術。
AM技術で大まかな形状を作り、切削で表面を仕上げるケースが多い。中空構造やうねった水管など、切削では加工が不可能な形状も作れる。


また、ピン状の専用工具を材料に押し付け、摩擦熱で軟化した材料同士をかき混ぜて接合する摩擦撹拌(かくはん)接合(フリクション・ステア・ウェルディング、FSW)技術と切削加工を組み合わせた独自性の高い複合加工機も市販されている。
この他、レーザー加工とウォータージェット加工など、切削以外の加工法同士を組み合わせた複合加工機もある。

FSW技術搭載の加工機
FSW技術搭載の加工機

出典:はじめての工作機械

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