タッチプローブを使用したティーチングコストゼロの教示システムとは?
人手不足、作業効率化、などの理由から、加工・検査工程で人と一緒に働ける『協働ロボット』の導入が進んでいます。
近年、ロボットは搬送などの単純作業をこなすだけにとどまらず、切断・溶接などより高度な作業を求められるようになってきました。
メトロールではロボット用3次元タッチプローブ【K3Mシリーズ】を開発・販売しています。
20年以上にわたって様々な産業用ロボット、工作機械、ロボットシステムインテグレーターから採用されてきました。
本記事では、
・タッチプローブK3Mシリーズの特長
・自動化のボトルネックとなっている『ティーチング作業』を自動化するシステム
の2点についてご紹介致します。
※本記事でご紹介するシステムはロボットシステムインテグレータの高丸工業㈱とのコラボレーションとなっています。
目次
タッチプローブK3Mの特長
はじめに、タッチプローブK3Mをご紹介します。
・ロボット×プローブで加工前の部品の位置決めを自動化。
・ロボット用タッチプローブは使用速度が速い『高速当て』でも、検知可能。作業効率アップ。
・ユーザの要望精度に応じて様々なラインナップ
《カスタマイズ オプション》
・ケーブルの長さ
・スタイラスの形状
・取付用のフランジ
などカスタマイズの対応は可能です。
《主な用途》
・ワークの加工、溶接前の位置検出
・ワークの穴の位置・深さ確認
・ワークの位置補正
・内径、外形、平行度の確認
《導入設備》
・溶接ロボット
・レーザー/プラズマ切断機
・研削盤
・レーザー加工機
接点構造 | NO(常時開) |
---|---|
動作点の繰返し精度 | 0.01 – 0.03mm(操作速度による) |
保護構造 | IP67 |
接点定格 | DC5V〜DC24V 定常電流10mA以下(突入電流20mA以下) |
タッチプローブの取り付けについて
メトロールでは、タッチプローブの取付に関して、システムインテグレーターをご紹介いたします。
今回の事例以外にも検討中の使用方法がございましたら、お気軽にご相談ください。
Zoom,Skype等でオンラインの技術相談も受け付けております。(コチラ☜)
自動化・無人化のミッション
・生産ラインの24時間稼働(生産性向上)
・人手のバラつきをなくし、作業の効率化、品質向上
・危険作業の労働力を確保し採用・運用コスト削減
・作業者が付加価値の高い作業へ専念することでのリソースの確保
これらを実現するにあたって溶接ロボットなどの産業用ロボットが導入されるケースが増えてきています。
特に導入事例として以下のような作業が挙げられます。
《ロボットの導入目的》
・運搬作業
・溶接作業
・カット、穴あけ作業
・シーリング
・塗装作業
労働者の確保が難しくなってきている近年、これらの作業は危険や負担が大きく、
『ヒトから産業用ロボットに移行したい』というニーズがより高まっています。
産業用ロボット導入後の課題
自動化にはロボットに作業の動きを覚えこませる『ティーチング(教示)作業』が必要です。
しかし、ティーチングは難易度の高い業務の為
『ロボット動作プログラムを作成できない・ティーチングマン(教示作業者)が足りない』
ことが課題になることも多いのではないでしょうか?
単純な搬送や運搬作業であれば、ダイレクトティーチングで動作をロボットに記憶させることが可能です。
一方で、加工点の位置決め、センシング動作など、精度が要求される作業では、高度なティーチングが要求されます。
難易度の高いティーチングを外部に委託すると高額のコストが発生してしまいます。
はたして難易度の高いティーチング作業の省人化、工数を削減することは可能なのでしょうか?
・目 的
作業をロボットによる自動化を行いたい
・課 題
自動化のための複雑なプログラムを作成する必要がある
⇒内製化:ティーチングマンがいない、教育に時間がかかる
⇒外部インテグレータに委託する:高コスト
・ニーズ
ティーチング作業の工数を最小限にしたい
ティーチング作業を一切行わない簡易教示システムとは?
当社のタッチプローブK3Mを使った、鏡板(曲面ワーク)切断の事例をご紹介します。
高丸工業が開発した教示システムでは
『鏡板の穴開け加工』をティーチングを一切行わずに、自動で動作プログラムを作成・実行します。
3次元情報を取得するために、溶接ロボットとタッチプローブを組み合わせて使用しています。
※1:高丸工業:ロボットシステムインテグレーター(HP)
《従来の方法》
従来は以下の①②の方法で作業を行っていました。
①人手で、ワークの三次元局面に切断する穴のケガキ線を書き込んでから溶接・切断
②三次元CADで加工ワークのデータを作りこみ、プログラムを組んでロボットで溶接・切断
《従来方法自動化の課題》
・少量多品種のワークの為、パターン化が困難
・CADで書いたワーク図面と、現物ワークの寸法に誤差がある
・3次元CADで図面を書き、その中でロボットを動かす複雑なプログラムを組む必要がある
《高丸工業のティーチングレス(不要)システムの概要》
操作盤に二次元(平面)の寸法データを入力するだけで、ケガキ作業と曲面ワークへの切断作業が可能。
ティーチング作業は一切行いません。
同システムでは『タッチプローブK3M』を使用しています。
ワークの曲面上をタッチプローブで触れることで切断する穴の『高さ座標』を検出します。
これにより入力した切断穴の二次元データから三次元の穴をあける加工プログラムを自動で作成し、実行することができます。
タッチプローブを使用した簡易教示システム 実演動画あり(解説付き)
はじめに入力作業~切断までの動画をご覧ください。
参照元:https://www.takamaru.com/about/newspaper/
◆作業内容:【切断プラズマトーチを使用した鏡板の穴開け作業】
※動画ではプラズマトーチの代わりに『ケガキペン』を持たせています。
ステップ1:加工穴の平面情報の入力
①~③の2次元データを入力し、穴の切断位置と大きさを確認します。
①角度情報の入力:ワークの中心線に対して何度の角度に加工穴の中心があるのか
②距離情報を入力:ワークの中心から『切断する穴の中心』までの距離
③加工穴の直径情報を入力
▲入力する3つの平面情報①~③
しかし切断する穴は平面ではなく、ワークの三次元曲面上にあります。
そのためロボットが自動で三次元データと動作プログラムを組まなければなりません。
ステップ2:三次元(高さ)情報の取得工程
ここではタッチプローブで曲面上を接触検知することで加工穴の高さ座標を取得します。
▲タッチプローブによる機械座標の検知工程
《動画解説 動作順序》
① (ステップ1の角度情報に基づいて)ターンテーブルが回転
② センサーで物体の高さを測定
⇒切断する穴の中心をロボットが検知
③ 円が通過する円周上5か所の高さ情報をセンサーで測定していく
④ ③で測定した情報をもとに中心線を演算して、実際に(十字)線を書く
⑤ 円の軌道の高さ9か所をセンサで測定
①~⑤の工程で平面の円が3次元上で通過する座標(高さ)情報を取得完了しました。
▲二次元の切断穴の情報から三次元の切断穴(緑の円)を作成
ステップ3:加工穴の切断を実行
切断穴を三次元的な形状作業にロボットが組み替えてロボットが実行。
三次元曲面に置き換えた穴を切断します。(赤いマーカーが引かれている箇所)
※実演動画ではトーチの代わりにケガキペンを使用して赤マーキングしています。
▲三次元曲面に切断作業(赤マーキング)を実行
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