切粉トラブルとは?種類・原因・診断・対策を体系的に解説
旋削中に切粉が工具に巻き付き、加工を止めざるを得なかった経験はありませんか。あるいは穴あけ後の内壁を確認すると凹凸が残り、原因を追いきれないまま条件を変え続けたことがないでしょうか。
切粉トラブルは現場でしばしば「掃除の問題」として軽く扱われますが、加工不良・工具寿命短縮・機械停止・安全災害まで連鎖させる、金属切削の中核的な問題です。原因は工具の選択だけでなく、被削材・切削条件・クーラント・機械構造・搬送設備にまで広がるため、「どこから手をつければよいか」が分かりにくいという側面があります。
この記事では、製造業の加工担当者・設備担当者向けに、切粉の種類・発生メカニズム・トラブルの類型・診断方法・対策の選び方を体系的に解説します。実務チェックリストも含めているため、現場の改善計画づくりにそのまま活用できます。
目次
切粉トラブルとは

切粉(切りくず)とは、金属切削加工で除去された素材片の総称です。短いカール状のもの、長く連続するもの、粉状になるものまで形態はさまざまで、「切粉」「切りくず」と呼び方が分かれることもありますが、実務上はほぼ同義で使われます。
切粉を問題として捉えるべき理由は二つあります。
第一に、切粉は加工点の現象を最も早く可視化する結果指標だからです。色・長さ・巻き数・分断状態・排出方向を観察すると、切削温度・条件の適否・刃先状態・被削材との相性を読み取ることができます。
第二に、切粉はうまく処理されないと、ワーク再切削・工具への溶着・穴内詰まり・コンベヤ詰まり・クーラント汚染・飛散災害へ直結する障害物でもあります。つまり切粉は、加工のバロメータであると同時に、トラブルの媒介物です。
切粉トラブルの対策を考えるうえでは、被削材のISOベース分類を起点にするのが実務に有効です。鋼・ステンレス鋼・鋳鉄・非鉄金属・耐熱合金/チタン・高硬度材では、切粉形態・発熱・構成刃先・摩耗の出方がそれぞれ異なります。切粉トラブルを「条件の問題」に矮小化せず、「材料・工具・条件・機械」の組み合わせ問題として捉えることが、再現性の高い対策の出発点になります。
切粉の種類と形状が示す診断サイン
形状で見る4分類

切粉の学術的な形態分類は、JISベースで流れ形・せん断形・き裂形・むしれ形の4種類に整理されています。流れ形は条件と刃物状態のバランスが良く安定切削が実現できている状態です。せん断形はやや変動がある状態、き裂形は脆い材料で連続性を失っている状態、むしれ形は排出不良や構成刃先の影響を受けた状態です。
実務ではこれをさらに排出形状に落として判断します。長く絡む切粉はヒンジ式コンベヤで扱いやすく、粉状の切粉はスクレーパ式が向き、短いカール状はスパイラル式でも処理しやすいという整理があります。「良い切粉」とは単に短いだけでなく、機内で再切削されず、搬送設備と相性が良く、回収価値も高い形状を指します。
穴加工では切粉の判定がさらに具体的になります。切粉がドリルから詰まらず排出されていれば切粉生成は許容範囲内ですが、長く曲がった切粉が出る場合は詰まりのリスクがあります。穴内壁にも、良好排出時は健全な内壁が得られ、詰まり時には凹凸面が現れます。穴加工では切粉の長さだけでなく、形と穴内壁への痕跡をセットで確認することが重要です。
被削材別の切粉特性

被削材によって切粉の出方は大きく異なります。オーステナイト系ステンレス鋼は高じん性で長く連続的な切粉を形成しやすく、加工硬化・境界摩耗・構成刃先・チッピング・加工面悪化を招きやすい材料です。鋳鉄は短い切粉になりやすい一方、SiCに由来するコスリ摩耗が工具側の問題になります。
非鉄金属(アルミ合金・銅・黄銅など)ではSiを13%含むアルミ合金で特に強い摩耗性を示します。耐熱合金・チタンは高温強度と低熱伝導率のため高発熱になり、分割切粉と大きな動的切削抵抗を生じやすく、刃先にとって極めて厳しい環境です。
切粉の発生メカニズムと条件設計の関係
塑性変形・構成刃先・チップブレーカ

切粉は主せん断域での塑性変形と、工具すくい面上での摩擦・発熱の結果として形成されます。高速切削では塑性せん断域のひずみ速度・温度条件が極めて厳しく、不連続型切粉を生じさせるには局所すべりや延性破壊条件を考慮する必要があります。負のすくい角側では局所すべりが発生しやすく不連続型切粉になりやすく、正のすくい角では連続型切粉へ遷移しやすい傾向があります。刃先形状が切粉の連続・不連続を根本から左右することを意味します。
構成刃先は切粉トラブルの中でも特に厄介な現象です。構成刃先は切りくず排除の難易・工具寿命・仕上面品位に直接影響し、切削抵抗と温度を変えることで間接的にも悪影響を与えます。切粉が刃先に付着・剥離を繰り返すことで切削が変動し、加工面が荒れる「むしれ形」の典型的な原因でもあります。
チップブレーカは万能ではなく、有効な条件域の中でのみ機能します。一般に切削速度が上がるほどチップブレーカの有効範囲は狭くなります。切削油剤の有無でも有効範囲は変わります。切粉トラブルの本質は「ブレーカ選定ミス」だけでなく、「ブレーカが働く切粉厚みと幅を作れていない条件設計の失敗」にあることが多いです。
刃先形状と送り・切込みの影響

切粉厚さは刃先形状と切削条件によって変わります。切込み角を大きくすると切粉厚さが厚くなり切粉処理能力が向上し、横切れ刃角を小さくすると同じ送りでも切粉厚さが増えて切粉処理が改善します。送り量を上げる・横切れ刃角を小さくする・コーナ半径を小さくすることでも切粉厚みは増大します。一方で、コーナ半径が大きいほど背分力増大によりびびりが起きやすくなるため、形状変更は切粉対策と剛性対策のトレードオフになります。
切粉トラブルの4類型と原因分析
切粉トラブルは、現場ではばらばらの症状として認識されがちですが、かなり定型化できます。代表的なトラブル群と優先初動をまとめると次のようになります。
| トラブル群 | 典型症状 | 主な原因機構 | 優先初動 |
| 機械停止・故障 | コンベヤ詰まり、主軸噛み込み、機内堆積 | 長尺切粉の絡み、微粉堆積、排出経路不良 | 排出経路・カバー・コンベヤ・フィルタを確認 |
| 加工精度・面品位低下 | ワーク傷、再切削痕、穴内壁凹凸、寸法ばらつき | 巻付き・再切削・穴内詰まり・発熱 | 切粉厚み確保・ブレーカ見直し・高圧クーラント確認 |
| 工具寿命短縮 | 逃げ面摩耗加速、溶着、チッピング、折損 | 構成刃先・熱上昇・境界摩耗・詰まりによる異常負荷 | 摩耗面観察・切削速度・送り・突出し・クーラント圧を是正 |
| 安全・環境問題 | 飛散・火傷・切創・反応性金属火災 | 高温切粉、床面散乱、禁水性金属の誤処置 | 停止後清掃・防護・容器保管・適正消火を徹底 |
機械故障につながる切粉トラブル

長尺切粉は、ワーク・チャック・治具・カバーの段差に引っ掛かって滞留し、コンベヤ入口を塞ぎます。再切削が起き、さらに絡みが増え、最終的にはコンベヤ詰まりや機械停止に発展します。長くつながった切りくずが工具やワークに巻きついて不良や精度不良を引き起こし、チップコンベヤ詰まりによる停止・故障につながります。
対策は機械構造の設計段階から組み込む必要があります。機内カバーに急傾斜(最大81°)を設ける・引っ掛かりの少ない可動カバーを採用する・フルセンタトラフ構造で切粉を加工点直下のチップコンベヤへ直接落とす、という設計思想が長時間安定加工を支えます。「機械構造が悪いと、良い条件でも負ける」ことを現場は肝に銘じておく必要があります。
微粉・スラッジ側の問題も軽視できません。クーラント中の不純物除去が機械の安定稼働には欠かせず、スラッジレスタンクの導入で清掃頻度を削減できます。さらに近年は、工具ホルダと主軸の間への切粉噛み込みを自動検知して加工を停止する機能も工作機械に採用されつつあります。切粉トラブルは「起きた後に掃除するもの」から「機械が検知して止めるべき異常」へと変わりつつあります。
加工精度低下につながる切粉トラブル

精度悪化の主因は、切粉が再び加工点に戻る再切削と、穴内での切粉噛み込みです。穴加工では切粉が詰まると穴内壁に凹凸面が現れ、異常音・断続音・送り分力の変化として観察されます。深穴では排出性が加工面を直接支配し、切りくず排出重視溝設計によりL/D(加工深さ/ドリル径)=5でも安定加工が可能な工具と、穴奥で詰まりによる加工面悪化が生じる工具では大きな差が出ます。
旋削の仕上げ条件にも注意が必要です。低切込み・低送りの仕上げ加工や大径工作物では、チップブレーカが有効に機能せず、工具・工作物・チャックへの切りくず絡みが起こりやすいです。「仕上げ条件だから安全」ではなく、「仕上げ条件だからブレーカが効かず危険になる」局面があることを認識しておく必要があります。
さらに、切りくずが加工熱を持ったまま機内に堆積すると加工精度に影響します。切粉を速やかに機外へ排出することは単なる清掃性だけでなく、熱マネジメントとしても重要な意味を持ちます。
工具寿命短縮につながる切粉トラブル

工具寿命短縮のメカニズムは、構成刃先・熱・摩耗・異常負荷の四つに整理できます。ステンレスでは高温・境界摩耗・構成刃先・長い連続切粉が同時に出やすく、工具コーティングの剥離・チッピング・加工面悪化へ進みやすいです。耐熱合金では高温時強度・低熱伝導・加工硬化・溶着硬化により、最大切込み位置の境界摩耗が起こりやすく、刃先は極めて摩耗性の高い環境にさらされます。
穴加工では切粉詰まりがそのまま折損リスクになります。推奨チップブレーカの確認・切削油供給増加・フィルタ清掃・油穴清掃・送り調整・切削速度調整が第一対応で、突出し短縮と保持状態改善も寿命対策として有効です。詰まりは工具単体の問題ではなく、供給・保持・幾何・条件を一体で見るべき問題です。
SUS304旋削において高圧クーラントは工具寿命向上に寄与し、乾燥条件やクーラントなしに比べて逃げ面摩耗の進行が緩やかになることが確認されています。SEM(走査型電子顕微鏡)観察でも、高圧クーラント側ではすくい面・逃げ面の摩耗や溶着の抑制が確認されています。切粉処理の改善が単体で効くのではなく、切粉のカール半径低下・刃先への到達性・潤滑・冷却が同時に作用して工具寿命に反映されています。
現場での診断と見える化の進め方

切粉トラブルの診断は、まず「見る・聞く」から始まります。切粉色の干渉色から発熱状態を推定でき、形状からは被削性・刃物状態・条件の良否が見えます。穴加工では加工音の連続/断続が詰まりの有無を示します。現場でまず行うべきは、長さ・巻き数・分断・色・排出方向・音・ワーク表面傷の七項目を条件変更前後で同じ視点から比較することです。
計測に進む場合、最も実装しやすいのは主軸負荷・送り分力・動力モニタ・スラスト変動です。高価なセンサがなくても、NC画面の負荷履歴と加工音からかなりのところまで把握できます。
一段深い診断として有効なのが、AE(アコースティックエミッション)・振動・赤外線・画像の活用です。AE法による小径穴加工の研究では、切りくず噛み込みがAEイベントの連続発生として検出され、突発折損の予兆検知につながる可能性が示されています。赤外線サーモグラフィとAI画像認識を組み合わせることで、切りくず裏面温度分布からすくい面摩耗・コーナ摩耗・逃げ面摩耗を同時推定できる可能性も研究されています。
機械学習の実装も進んでいます。工作機械内を高性能カメラで撮影し、AIが切りくずの位置と量を判別してノズル角度とクーラント吐出量を自動制御する製品が実用化されています。2025年には、旋削中の工作物に絡まる切りくずを機械学習とマニピュレータで自動除去するシステムの研究も報告されています。切粉は単なる副産物から状態推定の信号源へと変わりつつあります。
X線CT(コンピュータ断層撮影)などの非破壊検査は切粉トラブルの二次被害確認に有効です。深穴や内部流路で切粉詰まりや再切削が疑われる場合、内部面の幾何異常や異物残留の確認に活用できます。
切粉対策の選び方:短期施策と中長期施策
切粉対策は、短期の条件修正で効くものと、中長期の設備・仕組み改善で効くものに明確に分かれます。両者を混同すると、設備投資すべきなのに条件調整を続けたり、逆に工具条件で解決できるのに過大投資したりします。
| 施策 | 効く場面 | 主な効果 | 注意点 |
| 送り・切込み・速度の再設計 | 低送り・浅切込みでブレーカ不作動 | 切粉厚み回復、分断性向上 | 面粗さ・負荷との両立が必要 |
| チップブレーカ変更 | 材料や送り域と現行ブレーカが不一致 | 巻付き防止、びびり低減、寿命改善 | 条件域外では逆効果 |
| 刃先形状・コーナ半径変更 | 切粉が薄い、排出方向が悪い | 切粉厚みと流れ方向の最適化 | 背分力・刃先強度とのトレードオフ |
| 高圧/内部クーラント | ステンレス・耐熱合金・深穴・溝入れ | 冷却・潤滑・排出・分断補助 | 圧力過多は逆効果の例あり、フィルタ管理必須 |
| LFV(低周波振動切削)/チップブレーキング | 延性材・純銅・純アルミ・深穴 | 強制分断、チョコ停低減、自動化適性向上 | 機能搭載機種・条件設定が必要 |
| 排出装置・自動除去 | 無人運転、堆積多発、清掃工数増大 | 機外排出、清掃頻度低減、停止防止 | 設備費と保守設計が必要 |
短期で取り組む対策

最も即効性が高いのは、切粉厚みを回復させる条件調整です。仕上げ寸法が許す範囲で送りを少し上げる、横切れ刃角やコーナ半径を短尺切粉が出やすいものに寄せることが基本です。これで改善するなら、設備投資の前に「条件のずれ」を修正できたことになります。
次に効くのがチップブレーカの適正化です。切粉トラブルは「ブレーカの有無」ではなく、「送り・切込み帯に対してそのブレーカが最適化されているか」で決まります。特に小径精密部品や倣い・テーパ加工では、微小領域専用設計の有無が差になります。
クーラントは「かければ良い」ではなく、「どこに・どの圧力で・どの清浄度で届くか」が本質です。30〜80 barのクーラント圧で工具寿命と切りくず処理が大幅に改善するケースが多い一方、100 bar超では寿命が低下する例もあります。高圧化と濾過・ノズル到達性はセットで考えるべきです。
中長期で取り組む対策

中長期策の中心は排出系と自動化です。チップコンベヤは切粉形状に合った型式(ヒンジ式・スクレーパ式・スパイラル式)を選ぶことで、切粉の熱による精度影響・手清掃工数・資源価値低下を同時に抑えられます。「標準コンベヤで何とかする」発想には限界があります。
機械構造の改善も大きな効果があります。機内洗浄クーラントの強化、スラッジレスタンクによるスラッジ回収向上、主軸/ホルダ切粉噛み込みの自動検知といった機能は、無人運転の成否を左右する裏方性能です。加工点の切削データだけを追っていると見落としやすいものの、長時間連続加工では極めて支配的です。
費用対効果を考えるときは、スクラップ・工具費・停止時間・手清掃工数・夜間無人運転可否まで含めて判断すべきです。インコネル718旋削においても、高圧クーラントユニットの電力コストを考慮しても加工コスト面でのメリットが明確です。投資判断は「1個当たりコスト」ではなく、「1時間当たり稼働価値」と「停止1回当たり損失」で行うのが合理的です。
保守計画としては、日次で切粉サンプル観察・クーラント圧/濃度確認・コンベヤ目視、週次でフィルタ・油穴・タンク上澄み確認、月次でスラッジ量・主軸負荷履歴のレビューが妥当です。切粉トラブルを発生後対処から定期点検対象へ格上げすることが、中長期安定化の鍵です。
安全・環境管理のポイント

切粉トラブルは安全問題でもあります。厚生労働省のリスクアセスメントチェックリストは切削加工中の切粉飛散による目・手の負傷を明記しており、工作機械には覆い・囲いの設置が推奨されています。PPE(個人用保護具)だけで守るのではなく、機械の設計段階で切粉と作業者を隔離することが原則です。危険は「加工中の飛散」だけでなく、「清掃中」「段取り中」「停止後処置中」にも顕在化します。
反応性金属では火災リスクが一段上がります。マグネシウム等の切削屑は鋼製蓋付き容器で保管し、水溶性切削油を使用した場合の切削屑は水分との反応で水素ガスが発生するため、ガス抜き口付き容器を使う必要があります。燃焼時には水とABC粉末消火器は使わないことが定められており、Al・Mg系案件を扱う工場では鋼やステンレスとはルールを切り替える必要があります。
環境面では、切粉は適切に処理されれば価値ある資源です。産業廃棄物のうち金属くずの再生利用率は95.5%と高水準です。切粉の乾燥度・分断度・材質分別・油分離がそのまま売却価値・処理費・CO2負荷に直結します。切粉対策を廃棄コストではなく資源価値の最大化として設計することが、工場の環境経営の観点からも重要です。
トラブル発生時の対応手順

1. 症状を分類する
まず、機械停止・異音・面粗さ悪化・穴不良・工具欠損・清掃頻発のどれに当たるかを特定します。この分類がトラブルの原因層を絞り込む第一歩です。「なんとなく調子が悪い」という認識のまま対処すると、条件変更と元戻しを繰り返すだけで根本原因に到達できません。機械停止ならコンベヤ・排出経路、精度悪化なら再切削・穴内詰まり、工具寿命ならすくい面・逃げ面の摩耗状況と結びつけて考えます。
2. 切粉を回収して見る
切粉は最短の診断情報です。長く連続しているならブレーカが有効範囲外であることを示し、粉状ならひどい摩耗や脆い材料を疑います。穴加工特有の長く曲がった切粉は詰まりの前兆です。切粉の干渉色(黄色・紫・青と段階的に変化する)から切削点温度の高低を推定でき、青みが強いほど高い温度域に達していることを示します。銀色のままなら熱は比較的許容範囲にあります。形状が「むしれ形」ならば刃先への付着・剥離が起きている構成刃先の疑いが強まります。条件変更の前後で同じ視点・同じ場所から採取した切粉を比較することで、変化の向きが定量的に読めます。
3. 切粉厚みを作れているか疑う
チップブレーカが有効に機能するには、適切な切粉厚みと幅が必要です。送りが低すぎると切粉が薄くなって分断しにくくなり、切込みが浅すぎると幅が不足してブレーカが効きません。過大なコーナ半径や過大な横切れ刃角も切粉を薄くする方向に働きます。仕上げ条件(低切込み・低送り)や大径工作物ほどこの問題が起きやすく、「仕上げだから安全」という判断が落とし穴になります。まず送りを少し上げる、または横切れ刃角・コーナ半径を短尺切粉が出やすい方向に変更し、切粉形状の変化を確認します。
4. クーラントの到達を疑う
クーラントの問題は「圧力が低い」だけではありません。フィルタ詰まりによる流量低下、油穴詰まりによる刃先不到達、ノズル方向のずれで刃先に届いていないケースが多くあります。穴加工では油穴清掃・フィルタ清掃・供給量増加を詰まり対策の第一手として確認します。高圧クーラントを使う場合は、30〜80 barの範囲が工具寿命と切りくず処理の改善に効果的ですが、100 bar超で逆に寿命が低下する例もあるため圧力設定は慎重に行います。クーラント濃度・清浄度の管理も合わせて確認します。
5. 剛性と保持を疑う
ドリルの突出しが長い、工具保持の締め付けが不十分、芯出しが取れていない、ワーク自体の剛性が低いといった条件は、切粉トラブルを工具摩耗・穴精度不良へと増幅します。特に穴加工では突出しを短くし、工具保持の状態を改善することが工具寿命の回復に直結します。加工中のびびり音や振動の増大は、剛性不足のサインとして捉え、設定を見直します。
6. 排出設備を疑う
切削条件を改善しても切粉が機内に残留・堆積するなら、排出設備側の問題です。機内カバーの段差に引っ掛かりポイントがないか、チップコンベヤの型式が切粉形状(長尺・粉状・短カール)に合っているか、タンク底のスラッジがクーラントの清浄度を悪化させていないかを順に確認します。コンベヤ入口や可動カバーの周辺は堆積しやすい定番箇所で、清掃周期が固定化していないかも点検します。
7. 再発防止を標準化する
改善が確認できたら、その内容を個人の勘や記憶で終わらせず、標準条件票に落とします。記録すべき項目は、改善前後の切粉写真・主軸負荷の数値・工具型番とブレーカ品番・切削速度/送り/切込み・クーラントの種類/圧力/流量・清掃周期の変更点です。現場の改善を誰でも再現できる形に残すことが、属人性の排除と長期安定稼働につながります。
切粉による着座不良を防ぐにはメトロールのエアマイクロセンサが有効

切粉トラブルが加工精度に直結するルートの一つが、ワークと治具の間への切粉挟み込みです。目に見えない数ミクロン〜数十ミクロンの切粉が残った状態でワークを固定すると、着座不良(ワークの浮き)が生じ、寸法誤差や面品位悪化の直接原因になります。
メトロールのエアマイクロセンサ(DPAシリーズ)は、空圧式の高精度着座確認センサです。繰返し精度±0.5μmで切粉による数ミクロンの「浮き」を確実に検出でき、有り無し確認だけでなく密着確認(浮き検知)も同時に実現します。検出距離は1〜100μm(SRタイプ)または80〜550μm(LRタイプ)をカバーしており、自動車部品やHDD部品など高い加工精度が求められるラインで採用実績があります。保護等級はIP67以上で、クーラントが飛散する工作機械の機内への設置が可能です。しきい値はボタンワンプッシュで設定でき、複雑なトレーニング不要でラインに組み込めます。IO-Link対応機種(LK-DPAシリーズ)では、PLCやネットワークへのデータ連携・予知保全・遠隔制御も可能です。
詳細はこちら:メトロール エアマイクロセンサ
メトロールの位置決めセンサの製品ラインナップ
高精度位置決めタッチスイッチ(位置決めセンサ)
接触式の高精度スイッチで、工作機械やロボット、治具などの位置決めやワーク有無検出に用いられます。最大繰返し精度0.5µmと極めて高精度で、IP67の防水防塵性能を備え、悪環境下でも安定動作します。200種類以上の標準モデルがあり、狭所対応、高温対応、真空対応、低接触力タイプなどバリエーションが豊富です。
ツールセッタ(工具長測定センサ)
CNC工作機械や産業用ロボットに搭載し、工具長の測定や原点位置出し、工具折損検知などに使用される接触式センサです。工具の長さや摩耗、熱変位を機内で自動測定・補正することで加工不良を防止し、段取り時間を大幅短縮します。世界74ヵ国で50万台以上の出荷実績があるメトロールのベストセラー製品です。
タッチプローブ(機上測定プローブ)
工作機械やロボットに搭載し、加工前のワーク位置決め(芯出し)や加工後の寸法測定を自動で行う機内計測用の接触式プローブです。繰返し精度1µmでワークの基準出し・寸法検査を自動化し、熟練者の手作業を置き換えることで段取り時間短縮や加工不良防止に貢献します。有線式と無線式(ワイヤレス)のモデルがあり、5軸加工機やロボットへの後付けニーズにも応えています。
エアマイクロセンサ(空圧式センサ)
空気圧を利用した非接触センサで、ワークの着座状態を数ミクロン精度で検出できます。従来は困難だった10µm以下の隙間(「浮き」)を±0.5µmの繰返し精度で検知し、ワークと治具の密着不良による加工不良や設備のダウンタイムの発生を防止します。半導体製造プロセスや精密部品のクランプ工程、研削盤の砥石位置合わせなどで活用され、国際標準のIO-Link通信にも対応したスマートセンサです。
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一見するとただの廃棄物に思われがちですが、加工精度・作業安全性・設備寿命・環境負荷にまで直結する、ものづくりにおいて欠かせない要素です。
切粉の形態や発生メカニズムを理解することは、適切な工具選定や加工条件の設定、さらには不良削減やコスト低減につながります。
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切削加工時のワーク浮き上がり検出で、加工不良品を未然に防止
CNCマシニングセンタでエンジン部品を切削加工されていましたが、 ワークの着座不良による加工不良品の発生でお困りでした。
メトロールの『エアマイクロセンサ〈ショートレンジ形〉』は、±0.5µm繰返し精度で、切粉の挟み込みによる、治具とワークの10µmの僅かな浮き上がりを確実に検出。機械を自動でストップし、加工不良の発生を未然に防止します。

加工工程で不良品を未然に検出し、検査工程を削減
レース用バイク部品を製造している、精密金属加工メーカー様です。
生産技術の担当者様より、製造工程における「加工不良品」の検出について、ご相談いただきました。

タレット旋盤のワークのL寸を1μm精度で判別し、全数検査を削減
バルブメーカー向けに配管部品を製造している、金属部品メーカー様です。
品質保証のご担当者様より、L寸加工不良の検出についてお問い合わせいただきました。




