工作機械の自動化事例10選|マシニングセンタ・旋盤・研削盤の成功事例を解説

工作機械の自動化は、単にロボットを置くことではありません。加工、段取り、ワークの着脱、工具計測、機上計測、異常検知、補正、搬送、監視、保全を一つの生産システムとして設計し直すことです。

本記事では、工作機械自動化を広く捉えながら、メトロールの具体的な導入事例を随所に埋め込み、実際の現場でどのように自動化が成立するのかを整理します。

目次

工作機械の自動化とは?

工作機械自動化は、加工工程全体を一つのシステムとして再設計する取り組み

工作機械の自動化という言葉から、最初に思い浮かぶのはロボットによるワーク着脱かもしれません。しかし、現場で成果を出す自動化は、ロボットだけで完結しません。CNC旋盤、マシニングセンタ、5軸加工機、複合加工機、平面研削盤、内面研削盤などの工作機械に対して、ワークの供給、基準面の確認、工具長や工具摩耗の測定、加工後寸法の確認、補正値の反映、異常時の停止、次工程への搬送までを連動させてはじめて、安定した無人運転や多台持ちが成立します。

この意味で、工作機械自動化は「人が行っていた一作業を機械に置き換えること」ではなく、「人が暗黙知で吸収していたばらつきや判断を、計測・制御・データ・運用ルールに置き換えること」だといえます。熟練者が火花や音で砥石の当たりを判断していた工程、オペレータがノギスやダイヤルゲージで確認していた工程、工具折れを目視で見つけていた工程、切粉噛みによるワーク浮きを経験で疑っていた工程を、センサとプログラムで再現する取り組みです。

自動化の価値は、加工時間よりも非加工時間と品質ばらつきに現れる

工作機械の主軸が材料を削っている時間だけを見ると、自動化の価値は見えにくくなります。実際には、加工前のワークセット、原点出し、工具測定、砥石の当て込み、加工後の寸法確認、追加工判断、工具折損時の復旧、切粉噛みの確認、次ロットへの段取り替えといった「非加工時間」が大きなボトルネックになります。

たとえば、研削加工では、砥石とワークの接触点を見つける当て込み作業や、加工後にワークを降ろして測定し、再度セットして追加工する作業が時間を奪います。旋盤加工では、バー材の浮き、引き出し量のズレ、突切りバイト折損、穴加工不良などが、連続加工中の不良品大量発生につながります。マシニングセンタでは、ワーク原点出し、工具折損、工具摩耗、加工ミスの検出が無人運転の壁になります。

したがって、工作機械自動化の本質的な価値は、主軸の加工速度を直接上げることだけではなく、機械を止める要因を減らし、品質を安定させ、人が機械に張り付く時間を減らし、夜間や休日も安心して稼働できる条件を整えることにあります。

メトロール事例は「測る・補正する・止める」を中心に自動化を具体化

メトロールの工作機械関連事例を横断すると、ロボットや搬送だけでなく、「測る」「補正する」「止める」という三つの機能が自動化の中核になっていることが分かります。タッチプローブはワークの原点出しや機上計測を担い、ツールセッタは工具長測定、摩耗検出、折損検知を担います。タッチスイッチはワークの浮き、材料残り、穴加工不良などの異常判定に使われます。エアマイクロセンサは、砥石の位置決めや摩耗量の検出、着座確認などに使われます。

この構成は、工作機械自動化の導入順序を考えるうえで重要です。無人化を考えるとき、多くの現場ではまずロボットやローダを検討しがちです。しかし、ワークの基準がずれている、工具が折れている、砥石が摩耗している、穴が正しく加工されていない、といった状態を検出できなければ、ロボットでワークを投入しても不良品を連続生産するだけになります。つまり、無人化の前提には品質保証の自動化が必要です。

工作機械自動化を構成する技術アーキテクチャ

物理層では、ロボット・ローダ・パレット・搬送が人の手作業を置き換える

物理層の自動化では、協働ロボット、産業ロボット、機内ロボット、ローダ、パレットチェンジャ、パレットストッカ、コンベア、AGV、AMRなどが中心になります。ワークを取りに行く、チャックに載せる、加工後に取り出す、次の工程へ送るといった作業は、視覚的にも分かりやすい自動化です。

ただし、物理層だけを導入しても、安定稼働にはつながりません。ロボットがワークを正しく置いたとしても、治具の基準面に切粉が残っていれば、ワークは浮きます。工具が折れていれば、その後の加工はすべて不良になります。パレットが自動搬送されても、段取りデータ、工具寿命、NCプログラム、検査基準が整っていなければ、無人運転は長続きしません。

品質保証では、機上計測・工具測定・異常検知・補正が無人運転の長さを左右

品質保証層は、工作機械自動化における最重要層です。ワークが正しく座っているか、工具が折れていないか、砥石が摩耗していないか、穴が正しく加工されているか、加工後寸法が許容範囲内か、加工原点がずれていないかを、機械の中で確認する仕組みです。

平面研削盤における機上計測の事例では、ワークを機械から降ろして測る工程をなくし、ワンチャックで加工から測定、追加工までを完結させています。ワークを一度も動かさないため、再セットによる原点ズレが起きにくくなり、作業者が機械に張り付く時間も減ります。これは、単なる測定作業の短縮ではなく、加工プロセスそのものの再設計です。

制御・データ層では、測定結果を加工条件や保全へつなげる

自動化が高度になるほど、センサの出力は単なるON/OFF信号にとどまらなくなります。測定値をPLCやPCへ出力し、摩耗傾向、補正履歴、工具寿命、異常停止理由、無人運転時間などのデータとして扱うことが重要になります。

工作機械の自動化の主要事例

ここからは、メトロールの事例を中心に、工作機械自動化を具体的に見ていきます。以下の事例は、ワーク着脱、原点出し、工具計測、機上計測、砥石補正、加工異常検知、ロボット加工、小型加工機への組込みなど、工作機械自動化の主要パターンを広くカバーしています。

事例 対象工程 自動化の中核 記事内での位置づけ
①マシニングセンタ24時間稼働 ワーク供給・原点出し・工具異常検知 協働ロボット、タッチプローブ、ツールセッタ 無人稼働は搬送と品質保証を同時に設計する必要があることを示す事例
②平面研削盤の完全自動化 砥石当て込み、機上計測、追加工 エアマイクロセンサ、タッチプローブ 熟練者依存の研削を標準化し、多台持ちへつなげる事例
③CNC平面研削盤の機上計測 ワーク測定、追加工判断 タッチプローブ ワークを降ろさずに測定し、測定工数と再セット誤差を減らす事例
④両頭平面研削盤の自動補正 砥石摩耗量測定、座標補正 エアマイクロセンサ、IO-Link 計測値を補正と保全に活かすデータ駆動型の研削自動化事例
⑤大型鋳物のロボット加工 切断、研削、原点出し ロボット、タッチプローブ、自動倣い制御 危険・重労働・一品一様ワークを自動化する事例
⑥CNC自動旋盤の穴加工異常検知 穴加工後の良否判定 検出棒、タッチスイッチ 不良品の連続発生を機内で止める事例
⑦突切りバイト折損による材料残り検知 突切り加工、材料残り判定 タッチスイッチ 工具破損の二次被害を防ぐ自動停止の事例
⑧CNC旋盤の長手方向寸法不良検出 バー材浮き、引き出し量確認 無線式タッチスイッチ L寸不良と全数検査負担を減らす事例
⑨回転砥石の位置決め自動化 砥石当て込み、加工開始点検出 エアマイクロセンサ 研削盤自動化の基礎技術を解説する事例
⑩小型ミリングマシンの機内計測 小径工具検知、ワーク原点出し 小型タッチプローブ、小型ツールセッタ 省スペース機でも自動化を組み込める事例

<表1 メトロール事例で見る工作機械自動化の主要パターン>

①マシニングセンタを24時間稼働させた、センサと協働ロボットの組み合わせ

メトロールの自社工場では、マシニングセンタの24時間稼働を目標に、タッチプローブ、ツールセッタ、協働ロボットを組み合わせた自動化セルを構築しています。導入前は、材料の供給、完成品の取り出し、ワーク原点出し、工具折損や加工ミスの確認を人が行っており、夜間は機械を止めるしかない状態でした。

この事例のポイントは、協働ロボットだけで自動化したのではないことです。まず、タッチプローブによってワーク原点出しを機内で自動化し、手作業による測定ばらつきや温度変化の影響を減らしています。次に、ツールセッタで工具の摩耗や欠損を確認し、工具が折れた場合には機械を止める仕組みを入れています。そのうえで、協働ロボットが素材供給と完成品取り出しを担当します。

結果として、夜間も機械を動かせるようになり、生産性は10倍、段取り時間は5分の1に短縮されたと紹介されています。特に重要なのは、現場担当者の「納期が心配で夜まで残る」状態が軽減された点です。自動化の効果は数量だけでなく、作業者の精神的負荷や残業リスクの低減にも現れます。

この事例は、マシニングセンタの無人化を考える企業にとって、最初に見るべき代表例です。ロボットを導入する前に、ワーク原点出しと工具異常検知をどう設計するかが、無人運転の成否を左右します。

<参照:〖生産性10倍UP〗ツールセッタ×プローブ×協働ロボットによる自動化!マシニングセンタの24時間稼働を実現

②平面研削盤の完全自動化で、段取り時間60%削減と生産性1.5倍を実現した事例

三豊機工の平面研削盤事例では、エアマイクロセンサとタッチプローブを組み合わせることで、研削工程のボトルネックだった砥石当て込みと機上計測を自動化しています。研削加工は、精密部品の仕上げに欠かせない工程ですが、砥石とワークの接触点を判断する作業は熟練者の感覚に依存しやすく、習得にも時間がかかります。

この事例では、回転砥石の加工点をエアマイクロセンサで自動検出し、ワークの測定にはタッチプローブを使っています。砥石の原点出しからワーク測定、追い込み加工までを機械内でつなげることで、従来の人手作業を大幅に減らしています。

公開されている導入効果では、段取り時間60%削減、研削加工時間40%削減、生産性1.5倍が示されています。さらに、一人のオペレータが4〜5台の工作機械を同時に操作できるようになった点も重要です。人手不足の現場では、単に一工程を速くするよりも、作業者が機械から離れて別の機械や別の作業を担当できることが大きな価値になります。

この事例は、研削盤の自動化を考えるうえで、砥石側の計測とワーク側の計測を分けて設計する重要性を示しています。砥石の状態を測れなければ加工開始点が安定せず、ワークを測れなければ追加工判断が人手に残ります。両方を自動化することで、はじめて研削工程全体の標準化が見えてきます。

<参照:【導入事例】生産性 1.5倍アップした『平面研削盤の完全自動化』システムとは?

③CNC平面研削盤の機上計測で、測定工数を4分の1以下にした事例

昭和精機のCNC平面研削盤事例では、タッチプローブを使って、研削加工後のワーク測定を機械上で完結させています。従来は、ワークを研削盤から降ろし、ダイヤルゲージなどで測定し、寸法が合わなければ再び研削盤にセットして追加工する流れでした。この作業は、一面の加工につき何度も繰り返されることがあり、工数だけでなく再セット時の位置ズレも課題でした。

機上計測を導入すると、ワークを機械から一度も降ろさずに測定から追加工まで進められます。ワンチャックで完成まで進むため、再セッティングによる原点ズレを避けやすくなります。ページでは、ワーク計測の工数が4分の1以下になったこと、複数ワークを同時に加工する多数個取りが可能になり生産性が4倍になったこと、作業者が機械に張り付く時間が減ったことが紹介されています。

この事例から分かるのは、機上計測が単なる検査工程の短縮ではないということです。機上計測は、加工と測定を一つのループにし、測定結果に基づいて追加工へ進む判断を機械側に寄せる技術です。そのため、品質安定、再現性向上、若手作業者への技能移転、作業者の負荷軽減まで含めて効果が出ます。

<参照:〖導入事例〗生産性が4倍以上に!CNC平面研削盤の機上計測の活用法とは?

④両頭平面研削盤の砥石摩耗を数値化し、ドレス後位置合わせを7分の1にした事例

メロトールの空圧式着座センサ アドヴィックス社両頭平面研削盤自動化事例

アドヴィックスの両頭平面研削盤事例では、自動ブレーキ用ギヤ部品の研削工程で、上下砥石の摩耗量をエアマイクロセンサで数値化し、加工座標を自動補正しています。両頭平面研削盤は、上下の砥石でワークを挟み込むため、砥石の摩耗や個体差が加工寸法に直結します。許容誤差が数ミクロンの工程では、手動測定と手入力に頼ると、時間もミスのリスクも大きくなります。

導入前は、研削盤のカバーを外し、ダイヤルゲージで摩耗量を測定して、加工機へ数値を入力する必要がありました。導入後は、上下の砥石に対してそれぞれエアマイクロセンサを設置し、2〜3時間ごとに摩耗量を測定して補正する方式になっています。エア圧力を数値化し、IO-LinkでPLCやPCへ出力できるため、単なる有無判定ではなく、補正や保全に使えるデータとして扱えます。

この事例では、ドレス後の砥石位置合わせ時間を7分の1に短縮したことが大きな成果として紹介されています。また、現在の自動補正だけでなく、将来的な摩耗傾向分析、自己診断、保全自動化にもつながる点が特徴です。工作機械自動化が「動きを自動化する段階」から「データを使って加工状態を管理する段階」へ進む好例です。

<参照:〖導入事例〗両頭平面研削盤でのドレス後位置合わせ時間を7分の1に短縮

⑤大型鋳物の切断・研削を、ロボットとタッチプローブで自動化した事例

愛知産業のロボット加工事例では、大型鋳物の切断・研削作業を、産業用ロボット、タッチプローブ、自動倣い制御装置の組み合わせで自動化しています。大型鋳物は一品一様で、形状や置き方が毎回異なります。そのため、従来は熟練者が目と勘で位置合わせを行い、人が切断機や研削工具を扱う危険で重い作業になりがちでした。

この事例では、ロボットアーム先端の自動倣い制御装置にタッチプローブを装着し、ワークを4点タッチして原点出しを行います。その測定データに基づいて切断軌道を補正し、その後、チップソーへツールチェンジして湯口を切断し、さらにオフセット砥石へ持ち替えて切断箇所を研削します。ワークの個体差や設置ズレを測定で吸収する点が、この自動化の肝です。

この事例は、工作機械自動化を固定治具と量産品の世界だけで考えてはいけないことを示しています。大型ワーク、一品一様、多品種少量、危険作業、重作業であっても、加工前にワーク位置を測り、軌道を補正し、一定荷重で倣い加工できれば、自動化の対象になります。

<参照:〖導入事例〗進化するロボット加工。大型鋳物の切断・研削をオートメーション化

⑥CNC自動旋盤で穴加工異常を自動検出し、不良品の大量発生を防ぐ事例

穴加工の異常を自動検出【CITIZEN CNC自動旋盤】CincomL12の画期的なカスタマイズとは?

CITIZEN CNC自動旋盤Cincom L12の事例では、穴加工後の異常を検出棒とタッチスイッチで自動判定する仕組みが紹介されています。加工後に検出棒を穴加工部分へ差し込み、穴が正しく加工されていれば検出棒は折れません。一方、穴加工が不十分であれば検出棒が折れ、タッチスイッチへの接触状態が変わります。

正常時には検出棒がスイッチに接触し、異常時には折れた検出棒が接触しないため、機械は異常として緊急停止できます。これにより、穴加工不良を人手の全数検査に頼らずに検知でき、不良品の大量発生、材料ロス、加工時間ロスを抑えられます。

自動旋盤は連続加工を前提とすることが多く、異常を見逃すと同じ不良を大量につくってしまいます。この事例は、加工後に「正しく加工できたか」を機内で判定し、異常時に止めることの重要性を示しています。

<参照:穴加工の異常を自動検出〖CITIZEN CNC自動旋盤〗CincomL12の画期的なカスタマイズとは?

⑦突切りバイト折損による材料残りを検知し、機械を自動停止する事例

突切りバイト折れによる材料残りを自動検知【CITIZEN CNC自動旋盤】CincomL12の画期的オプション機能

同じCITIZEN Cincom L12の別事例では、突切りバイト折損による材料残りをタッチスイッチで検出します。突切りバイトが正常であれば材料は切り離され、タッチスイッチは材料を検知しません。しかし、突切りバイトが折れて材料が残っていると、タッチスイッチが材料を検知します。

材料残りを検知するとアラームが鳴り、加工が自動停止します。これにより、折れた工具のまま加工を続けてしまうこと、次の刃具や機械本体を傷めること、くし刃台周辺に二次的な破損が広がることを防ぎます。

この事例の価値は、工具折損そのものを検出するだけでなく、工具折損によって発生した加工状態の異常を工程内で確認している点です。無人運転では、異常の原因をすべて直接検出できるとは限りません。重要なのは、異常が製品や機械に与える結果を検知し、被害が広がる前に止める設計です。

<参照:突切りバイト折れによる材料残りを自動検知〖CITIZEN CNC自動旋盤〗CincomL12の画期的オプション機能

⑧CNC旋盤の長手方向寸法不良を、無線式タッチスイッチで検出する事例

タレット旋盤などワークのL寸不良をゼロにする方法とは?

CNC旋盤では、チャック時の切粉噛みやバー材の浮きにより、長手方向、つまりL寸の不良が発生することがあります。加工不良が一度発生すると、連続加工の中で大量の不良品が生まれ、後から全数検査で見つけるには大きな工数が必要です。

メトロールの無線式タッチスイッチRC-P10DXを使った事例では、バー材の浮きや引き出し量を検出し、長手方向の寸法不良を防ぐ方法が紹介されています。無線式であるため、配線が難しいタレット旋盤や可動部にも組み込みやすく、機内でL寸不良の原因を検出できます。

この事例は、検査工程の自動化にも直結します。機械の外で全数検査するのではなく、加工前または加工中に不良の原因を検出できれば、後工程の検査負担を大きく減らせます。品質保証を工程内に前倒しすることは、工作機械自動化の重要な考え方です。

<参照:〖CNC旋盤ユーザ必見!〗加工品の長手不良をゼロにする方法とは?

⑨NC平面研削盤の回転砥石の位置決めを、エアマイクロセンサで自動化する事例

業界初、NC平面研削盤の自動化を徹底解説

NC平面研削盤の回転砥石位置決め自動化は、研削盤自動化の基礎技術として重要です。従来の砥石当て込みでは、作業者が砥石をワークに近づけ、火花や音で加工開始点を判断します。この方法は時間がかかり、危険を伴い、ベテランと新人で品質がばらつきやすいという課題があります。

エアマイクロセンサを使う方法では、エアノズルから空気を吹き出し、回転砥石を近づけたときの信号変化から加工開始点や砥石径を検出します。接触式のように砥石を傷つけにくく、クーラントや研削粉のある環境でも使いやすい点が特徴です。

この技術は、単独でも段取り短縮に効果がありますが、ワーク機上計測と組み合わせることで研削盤全体の完全自動化へつながります。砥石側の基準とワーク側の測定をそろえることで、研削加工の標準化と無人化に近づきます。

<参照:〖業界初〗研削盤の回転砥石の位置決め自動化を徹底解説!

⑩小型ミリングマシンでも、工具計測とワーク原点出しを自動化

NS・CNC社の導入事例

カナダの小型ミリングマシンメーカーNS・CNC社の事例では、小型有線式タッチプローブと小型ツールセッタを、狭い機内スペースに組み込む課題が扱われています。対象となるELARAシリーズは、ジュエリー、時計製造、微細加工などで使われる高精度の小型ミリングマシンです。

課題は、工具径0.3〜0.5mmの小径工具検知と、加工前ワークの原点出しを実現したい一方で、加工スペースが非常に狭く、通常サイズのセンサを取り付けにくいことでした。そこで、機内計測用の小型タッチプローブK3Sシリーズと、小型ミリングマシン向けツールセッタP21シリーズが提案されています。

この事例は、自動化が大型マシニングセンタや量産ラインだけのものではないことを示しています。むしろ、小型・高精度・微細加工の現場ほど、工具径の小ささ、ワークの小ささ、手作業のばらつきが品質に直結します。省スペースのセンサを組み込むことで、小型機でも原点出し、工具計測、加工安定化を実現できます。

<参照:〖導入事例〗NS・CNC社の導入事例|小型ミリングマシンでの小型タッチプローブ活用方法

事例を横断して見える成功パターン

成功している自動化は、ロボットより先に「検知できない異常」をなくす

メトロールの事例を横断すると、成功している自動化は、ロボット導入の前または同時に、検知できない異常を減らしています。マシニングセンタの24時間稼働では、工具折損とワーク原点出しをセンサで担保しています。CNC自動旋盤では、穴加工異常や突切り不良を機内で検知しています。CNC旋盤では、バー材の浮きや引き出し量を検出しています。研削盤では、砥石の当て込み、砥石摩耗、ワーク測定を自動化しています。

これは、「人が見ていれば止められる」状態を、「人がいなくても止まる」状態へ変える取り組みです。夜間無人運転や多台持ちで最も怖いのは、不良や破損が起きたまま機械が動き続けることです。自動化の設計では、どの異常を、どのタイミングで、どのセンサで検知し、どの条件で停止させるかを明確にする必要があります。

研削工程では、砥石側とワーク側の両方を測ることが重要

研削盤の自動化では、砥石側の状態とワーク側の状態を分けて考える必要があります。砥石側では、摩耗、ドレス後の位置、加工開始点が問題になります。ワーク側では、加工後寸法、追加工の要否、再セット時のズレが問題になります。

三豊機工の平面研削盤完全自動化、昭和精機のCNC平面研削盤機上計測、アドヴィックスの両頭平面研削盤自動補正は、それぞれ異なる角度からこの課題に取り組んでいます。砥石の当て込みを自動化すれば段取りが減り、ワーク機上計測を自動化すれば測定と追加工のループが短くなり、砥石摩耗を数値化すれば加工座標の補正や保全へつながります。

研削工程は切削工程よりも自動化が難しいと考えられがちですが、センサで測る対象を明確に分解すれば、自動化できる余地は大きいです。熟練者の感覚を完全に否定するのではなく、熟練者が見ていた現象をセンサで置き換えることが重要です。

少量多品種でも、基準出しと補正を自動化すれば自動化対象になる

自動化は量産品に向く、少量多品種には向かないという見方があります。しかし、メトロールの事例を見ると、少量多品種こそ、基準出しと補正の自動化が効く場面があります。

たとえば、大型鋳物のロボット加工では、ワークの形状や置き方が毎回異なります。それでも、タッチプローブでワークを測り、切断軌道を補正することで、自動加工へ近づけています。マシニングセンタの24時間稼働事例でも、一台ずつ異なるワークであっても、タッチプローブがワークの原点出しを行えば、夜間も稼働し続ける仕組みを作れるとされています。

少量多品種で重要なのは、ロボットに固定動作を覚え込ませることではなく、ワークの個体差を測定し、加工条件や軌道に反映することです。つまり、少量多品種自動化では、ハンドリングよりも「測定と補正」の設計が価値を持ちます。

工作機械の自動化のプロセスと投資評価

設備選定より前に、対象工程の分解から始めるべき

工作機械自動化の導入では、最初にロボットメーカーや機械メーカーを選ぶのではなく、対象工程を分解することから始めるべきです。何を人がやっているのか、どの作業が機械停止を生んでいるのか、どの異常を人が目視で見つけているのか、どの寸法を何度も測っているのか、どの段取りが熟練者に依存しているのかを洗い出します。

次に、その作業を「搬送」「位置決め」「測定」「補正」「異常検知」「判断」「復旧」に分けます。たとえば、マシニングセンタで夜間無人化を目指すなら、ワークの供給だけでなく、ワーク原点出し、工具折損検知、加工後の良否判定、異常時の停止、翌朝の復旧手順まで設計が必要です。

研削盤であれば、砥石の当て込み、砥石摩耗の測定、ドレス後の位置合わせ、ワーク機上計測、追加工判断、クーラントや研削粉への耐性を確認します。旋盤であれば、チャック時の浮き、バー材の引き出し量、突切り後の材料残り、穴加工後の異常、工具摩耗や熱変位を確認します。

単機セルは小さく始め、FMS/FMCは事前準備を厚くする必要がある

工作機械自動化には、単機セル、自動化オプション付き工作機械、複数台をつなぐFMS/FMCという規模の違いがあります。単機セルでは、特定のボトルネックに対して、センサや協働ロボットを追加することで始めやすいです。たとえば、旋盤のL寸不良検出、突切り材料残り検出、マシニングセンタの工具折損検知、平面研削盤の砥石当て込み自動化などです。

一方、FMS/FMCでは、パレット、治具、NCプログラム、工具、材料、スケジューリング、保全、異常復旧、オペレータ教育までを事前に整える必要があります。設備が届いてから仕様を決めるのでは遅く、対象ワーク、段取り方法、検査基準、データ連携、停止時の運用を早期に固めることが重要です。

メトロールの位置決めセンサの製品ラインナップ

高精度位置決めタッチスイッチ(位置決めセンサ)

高精度位置決めタッチスイッチ(位置決めセンサ)

接触式の高精度スイッチで、工作機械やロボット、治具などの位置決めやワーク有無検出に用いられます。最大繰返し精度0.5µmと極めて高精度で、IP67の防水防塵性能を備え、悪環境下でも安定動作します​。200種類以上の標準モデルがあり、狭所対応、高温対応、真空対応、低接触力タイプなどバリエーションが豊富です​。

ツールセッタ(工具長測定センサ)

ツールセッタ(工具長測定センサ)

CNC工作機械や産業用ロボットに搭載し、工具長の測定や原点位置出し、工具折損検知などに使用される接触式センサです​。工具の長さや摩耗、熱変位を機内で自動測定・補正することで加工不良を防止し、段取り時間を大幅短縮します​。世界74ヵ国で50万台以上の出荷実績があるメトロールのベストセラー製品です​。

タッチプローブ(機上測定プローブ)

タッチプローブ(機上測定プローブ)

工作機械やロボットに搭載し、加工前のワーク位置決め(芯出し)や加工後の寸法測定を自動で行う機内計測用の接触式プローブです​。繰返し精度1µmでワークの基準出し・寸法検査を自動化し、熟練者の手作業を置き換えることで段取り時間短縮や加工不良防止に貢献します​。有線式と無線式(ワイヤレス)のモデルがあり、5軸加工機やロボットへの後付けニーズにも応えています​。

エアマイクロセンサ(空圧式センサ)

エアマイクロセンサ(空圧式センサ)

空気圧を利用した非接触センサで、ワークの着座状態を数ミクロン精度で検出できます​。従来は困難だった10µm以下の隙間(「浮き」)を±0.5µmの繰返し精度で検知し、ワークと治具の密着不良による加工不良や設備のダウンタイムの発生を防止します​。半導体製造プロセスや精密部品のクランプ工程、研削盤の砥石位置合わせなどで活用され、国際標準のIO-Link通信にも対応したスマートセンサです​。

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