工作機械のメーカーを紹介|工作機械別で13社と主要製品を整理

日本の工作機械産業は、世界でもトップクラスの規模と技術力を誇り、グローバル市場において重要な地位を占めています。
特にヤマザキマザック、オークマ、DMG森精機、ジェイテクトといった企業は国内「BIG3」または「BIG4」と呼ばれ、いずれも愛知県を拠点に世界的な競争力を発揮しています。
工作機械各社は、多様な製品カテゴリ(旋盤、マシニングセンタ、フライス盤、研削盤、放電加工機、複合加工機、5軸加工機など)で独自の強みを持ち、国内外の製造業を支えています。
本記事ではこれら主要メーカーを中心に、日本の工作機械メーカーを製品カテゴリ別に整理して解説します。


目次
旋盤

旋盤は工作機械の中でも歴史が古く、主に円筒状の部品を加工するための機械です。工作物(ワーク)を回転させて刃物で切削する仕組みで、自動車のシャフトやベアリング、航空機エンジン部品、小型精密部品など幅広い産業で使用されています。
現在の旋盤はCNC(数値制御)によって自動化・高精度化され、単軸の汎用旋盤から、複数主軸・タレットを備え複雑形状に対応できるCNC旋盤(NC旋盤)やターニングセンタへと進化しています。
日本メーカーは高い剛性・精度と豊富な機種展開で定評があり、国内市場だけでなく海外でも大きなシェアを占めています。
DMG森精機

DMG森精機は旋盤では、汎用的なCNC旋盤から複合加工可能なターニングセンタまで数百以上のモデルを開発してきました。
代表機種として、ターニングセンタのスタンダードマシンであるALXシリーズや、大型ターニングセンタ屈指の大径・シャフトワーク加工機であるNLXシリーズなどがあります。
オークマ

オークマは高精度なNC旋盤で知られ、自社開発のOSPを搭載した機械は制御系まで自社一貫で手掛ける強みがあります。
旋盤製品は汎用CNC旋盤のロングセラーのLBシリーズや、2サドル機であるLUシリーズ、大型ワーク対応の立形CNC旋盤のVシリーズなど幅広いラインナップです。
特徴として、高剛性の門型ベッド構造や熱変位補償技術により、長時間加工でも安定した寸法精度を保てる点がユーザーに評価されています。
また独自の自動化ソリューション「OSP suite」により、多品種少量生産での段取り自動化にも強みがあります。
ヤマザキマザック

マザックの旋盤製品は、多彩なCNC旋盤シリーズを揃えており、エントリー機からハイエンドまで対応可能です。
例えば「QUICK TURN(クイックターン)」シリーズはベストセラーの汎用NC旋盤で、高速・高精度加工と操作性に優れ、中小工場から大手企業まで幅広く導入されています。
また、複合機能を持つ「INTEGREX(インテグレックス)」シリーズは、旋盤とマシニングセンタを融合した同社の旗艦製品で、一台で5面・5軸加工と旋削を行えるタイプもあります。
これはマザックが世界に先駆けて開発した画期的な機械で、複合加工機市場を牽引してきました。
スター精密

スター精密の代名詞は「スイス型自動盤」と呼ばれる小径材用のNC旋盤です。これはバー材をコレットで支持しながら移動させて加工する方式で、腕時計部品や医療用骨ねじ、電子部品などの微細・高精度加工に適しています。
代表機種には「SBシリーズ」や「SRシリーズ」があり、加工径数ミリから対応可能で複数工具を同時制御することで高効率加工を実現しています。
スター精密のスイス型自動盤は世界トップクラスのシェアを持ち、特に医療・精密機器業界のユーザーから信頼を得ています。


マシニングセンタ

マシニングセンタ(MC)は、フライス盤を発展させた工作機械で、自動工具交換装置(ATC)を備え複数の切削工程を一台で連続遂行できる多機能工作機械です。
立形と横形があり、立形は主軸が垂直で比較的小型~中型部品の加工に、横形は主軸が水平で重切削や多面加工に適しています。
自動車用エンジン・トランスミッションケースから産業機械部品、金型加工まで幅広い用途があり、現在では5軸制御可能な高次元のマシニングセンタも普及しています。
DMG森精機

DMG森精機はマシニングセンタでも世界最大級のラインナップを有します。
代表シリーズには、立形の「NVX/NVシリーズ」や汎用立形MCの「CMXシリーズ」、横形の「NHXシリーズ」などがあります。
技術的特徴として、リニアガイドではなくボックスガイド採用による高い剛性・減衰性や、熱変位を抑制するためのクーラント循環構造など、安定加工の工夫が凝らされています。
オークマ

オークマはNC旋盤に加え、マシニングセンタ分野でも高い評価を得ています。
横形マシニングセンタの「MAシリーズ」は同社を代表する製品で、大型の構造部品加工に適した高剛性・高出力主軸を備え、自動化用パレットチェンジャも装備するタイプも存在します。
立形ではベストセラーマシンの「MBシリーズ」などをラインナップしています。
技術面では「サーモフレンドリーコンセプト」による熱変位自動補正や、高速応答のサーボで実現する輪郭誤差低減制御など独自の制御技術が強みです。
ヤマザキマザック

マザックは国内有数のマシニングセンタメーカーであり、1970年にはマシニングセンタ第1号機を日本で先駆けて自社開発しています。
立形MCの「VCNシリーズ」や「VTCシリーズ」、横形MCの「HCNシリーズ」など、使い勝手の良い設計と高速性能で人気があります。
また5軸制御の「VARIAXISシリーズ」は多面加工を1チャックで行える同社の主力5軸機で、自動車や航空機部品の加工効率向上に貢献しています。
牧野フライス製作所

牧野はとりわけ高精度・高速加工を追求したマシニングセンタで世界的に著名です。
立形では「Vシリーズ」や、鏡面加工仕上げに定評ある「iQシリーズ」などがあり、微細形状や鏡面加工で群を抜く性能を発揮します。
横形では航空機産業向けの「a61/a81シリーズ」や大型航空機部品対応の「Tシリーズ」(5軸横形門型)があります。
牧野の機械は剛性の高い構造と熱対策、独自開発の主軸技術によって、高い寸法安定性と加工面品位を実現します。
ジェイテクト

ジェイテクトは研削盤のイメージが強いですが、「FHシリーズ」などの横形マシニングセンタも展開しています。
ジェイテクトは2013年にギアスカイビング機能付きMC(「GSシリーズ」)を投入し、従来専用機で行っていた歯切り工程を1台でこなす製品を実現しました。これは同社ならではのユニークな差別化製品です。
ブラザー工業

工作機械専業ではありませんが、ブラザーは小型マシニングセンタ分野で世界的シェアを持つ存在です。主に「SPEEDIO(スピーディオ)」シリーズとして知られる高速・小型の立形MCを展開し、電子部品や自動車小物部品の量産に数多く使われています。
ブラザー機はツールチェンジの速さや高加減速性能に優れ、タッピングセンタとして高い生産性を発揮します。
日本では中小の町工場から大企業のセル生産ラインまで幅広く導入されており、ユーザーからの信頼が厚いです。


フライス盤

フライス盤は回転する多刃のフライスカッターを用いて平面や溝加工を行う工作機械で、マシニングセンタの原型とも言えます。
現在では汎用フライス盤は主に教育用途や小規模工場で用いられる程度で、生産現場ではほとんどがNC化・マシニングセンタ化されています。
ただ、日本の工作機械産業は「フライス盤」から発展した歴史があり、たとえば牧野フライス製作所や、ヤマザキマザック(創業当初は畳織機からフライス盤製造へ転換)、オークマ(元々は麺切機の精度向上のためフライス盤や旋盤を自作)など、多くのメーカーがフライス盤技術を基盤に成長しました。
現在の日本メーカーでも、工作機械カタログ上は「NCフライス盤」として位置づけられる製品があります。
たとえば静岡鉄工所や山崎技研といった中小メーカーは、操作が容易なベッド型のNCフライス盤や工具研削兼用の小型フライス盤などを製造しています。
研削盤

研削盤は、砥石を高速回転させて金属表面を微細に削り、滑らかで高精度な仕上げや、硬い材料の成形加工を行う機械です。
種類としては、平面研削盤、円筒研削盤、内面研削盤、センターレス研削盤、歯研盤(歯車研削盤)など多岐にわたります。
研削盤は工作機械の中でもミクロンオーダーの精度が要求され、自動車のクランクシャフト・カムシャフト、ベアリング部品、工具・金型の仕上げ加工などで不可欠です。
日本は研削盤分野でも強力なメーカーを擁し、精度と生産性で世界をリードしています。
ジェイテクト

ジェイテクトはトヨタ系の強みを活かし、自動車部品向け研削盤で圧倒的シェアを持ちます。
円筒研削盤やセンタレス研削盤、平面研削盤、ねじ研削盤など、エンジンや駆動系部品の大量仕上げに特化した機種を多数展開しています。
ジェイテクトの研削盤は剛性確保と熱安定設計に優れ、さらに砥石の自動交換装置やインプロセス測定(加工途中での寸法測定・補正)技術で無人連続加工を実現している点が特徴です。
岡本工作機械製作所

岡本工作は日本を代表する研削盤専業メーカーで、特に平面研削盤で世界トップクラスです。
「PSGシリーズ」は平面研削盤の代名詞的存在で、工作機械工場からハイテク部品工場まで広く使われています。
また、円筒研削盤の「OGMシリーズ」、内面研削盤、さらには半導体ウェハ研削装置なども手掛け、多角的な製品群を持ちます。
技術面では、岡本の平面研削盤は門型の高剛性コラムと精密スピンドルによりナノレベルの面粗さを実現し、研削焼けを防ぐ優れたクーラント制御も特徴です。
ナガセインテグレックス

(画像出典:製品情報 | 製品ラインナップ | 株式会社ナガセインテグレックス)
岐阜県にある中堅メーカーですが、超精密成形研削盤で知られています。独自の超剛性機構とスクレープレス(きさげなど熟練加工なしで高精度を出す)技術で、光学部品用金型の超精密加工などに使われています。
黒田精工

測定機器のイメージがありますが、高精度平面研削盤も製造しています。同社の成形研削盤は精密金型の微細形状加工で強みがあります。
アマダマシナリー

板金機械大手のアマダは、実は工作機械部門(旧アマダワシノなど)が研削盤を製造しています。
「MEISTER(マイスタ)」シリーズの小型精密平面研削盤や、複合自動盤(旋盤+研削ユニット)などユニークな製品を持ちます。


5軸加工機

5軸加工機とは、3軸(X,Y,Z)の直線運動に加え、2つの回転軸(通常はA/B軸またはB/C軸)を持ち、工具とワークの角度を自由に変えながら加工できる工作機械の総称です。
5軸加工に対応したマシニングセンタは、工具姿勢を傾けながら加工できるため、従来は加工困難だった複雑曲面や深いポケット形状を一体加工でき、段取り替えも削減できます。
航空宇宙分野のブレードやインペラ加工、医療分野のインプラント加工、金型の自由曲面加工などで不可欠となっており、高度製造の鍵となる技術です。
DMG森精機

同社はドイツDMG社との協業で5軸機に強く、「DMUシリーズ」は世界中で使われる代表的5軸マシニングセンタです。
例えば「DMU 50」はコンパクトな同時5軸加工機として有名で、金型・部品加工問わず柔軟に対応します。大型五面加工機「DMU 340 Gantry」のような門型5軸もラインナップしており、航空機構造物の加工などに使われます。
オークマ

オークマの「MUシリーズ」は5軸制御立形MCのブランドで、同時5軸から5面加工まで対応します。
MILLAC 1000VHなどは大型複雑ワークを一体加工でき、航空機エンジンケース加工などにも適しています。
オークマは独自の「ファイブチューニング」により、機内測定を通じて5軸各軸の位置誤差や傾き誤差を自動補正する仕組みを提供し、高精度加工を保証しています。
また、5軸加工のCAM支援や干渉チェックソフトも自社で開発し、ユーザーのプログラミング負荷軽減に努めています。MUシリーズは自社製OSP制御で5軸加工と他周辺機器の同期をきめ細かく行える点もメリットです。
ヤマザキマザック

マザックの「VARIAXISシリーズ」は高速5軸加工機の代名詞で、エントリー機から大型機まで幅広く展開しています。
また、普及価格帯の5軸機も投入し、市場拡大を図っています。マザックは5軸機にもMAZATROL対話制御の利点を活かし、角度付き面の加工などを簡潔にプログラムできるサポートを実装しています。
牧野フライス製作所

牧野は高精度5軸加工で世界屈指の存在です。「D500」や「D800Z」といった5軸立形MCは、金型加工や航空部品加工で数多く使われています。
牧野の5軸機はリニア軸の動特性が揃っており、優れた同時制御精度で知られます。例えばブレード(翼)加工では、極めて滑らかな曲面切削が可能で、欧米の航空機エンジンメーカーからも高評価です。
また、牧野は5軸制御の習熟支援として独自のシミュレーション環境を提供し、現場でのトライ時間を短縮する取り組みも行っています。
松浦機械製作所

(画像出典:5軸制御立形・横形マシニングセンタ MAM72シリーズ | 工作機械の松浦機械製作所 - Matsuura Machinery Corporation)
松浦の「MXシリーズ」や「MAM72シリーズ」は、自動化志向の5軸加工機として国際的に有名です。
特にMAM72シリーズは複数パレットチェンジャを内蔵し、72時間無人運転を目指した設計になっています。
これは少量多品種生産で威力を発揮し、欧米の産業機械部品メーカーなどに多く導入されています。
安田工業

安田の「YBMシリーズ」は、超高精度5軸マシニングセンタとして知られます。
航空機用精密部品や光学機器の金型加工で、μm単位を超えるサブミクロン精度が要求される際に、安田の5軸機が選ばれることがあります。 重ね合わせ精度が極めて高く、長時間運転後も寸法誤差僅少という圧倒的な性能は、日本国内のみならず海外のハイエンドユーザーにも評価されています。


メトロールの高精度な位置決めセンサとは?
工作機械の性能を最大限に引き出すには、ただ高精度な切削機を選ぶだけでなく、その「目」となるセンサの導入が欠かせません。
そこで注目したいのが、メトロールの高精度位置決めセンサです。メトロールが提供する各種センサ製品の特長をご紹介します。
高精度位置決めタッチスイッチ(位置決めセンサ)

接触式の高精度スイッチで、工作機械やロボット、治具などの位置決めやワーク有無検出に用いられます。最大繰返し精度0.5µmと極めて高精度で、IP67の防水防塵性能を備え、悪環境下でも安定動作します。200種類以上の標準モデルがあり、狭所対応、高温対応、真空対応、低接触力タイプなどバリエーションが豊富です。
ツールセッタ(工具長測定センサ)

CNC工作機械や産業用ロボットに搭載し、工具長の測定や原点位置出し、工具折損検知などに使用される接触式センサです。工具の長さや摩耗、熱変位を機内で自動測定・補正することで加工不良を防止し、段取り時間を大幅短縮します。世界74ヵ国で50万台以上の出荷実績があるメトロールのベストセラー製品です。
タッチプローブ(機上測定プローブ)

工作機械やロボットに搭載し、加工前のワーク位置決め(芯出し)や加工後の寸法測定を自動で行う機内計測用の接触式プローブです。繰返し精度1µmでワークの基準出し・寸法検査を自動化し、熟練者の手作業を置き換えることで段取り時間短縮や加工不良防止に貢献します。有線式と無線式(ワイヤレス)のモデルがあり、5軸加工機やロボットへの後付けニーズにも応えています。
エアマイクロセンサ(空圧式センサ)

空気圧を利用した非接触センサで、ワークの着座状態を数ミクロン精度で検出できます。従来は困難だった10µm以下の隙間(「浮き」)を±0.5µmの繰返し精度で検知し、ワークと治具の密着不良による加工不良や設備のダウンタイムの発生を防止します。半導体製造プロセスや精密部品のクランプ工程、研削盤の砥石位置合わせなどで活用され、国際標準のIO-Link通信にも対応したスマートセンサです。
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