高さ検出とは?代表的なセンサ方式や選定のポイントを解説
高さ検出とは、ワークや工具の高さ(Z方向の位置)を正確に測るための計測技術です。
しかし実際の加工では、「どこを基準に」「どの精度で」「どの環境で測るか」によって、最適な方式や設計は大きく変わります。
本記事では、高さ検出の基本から代表的なセンサ方式、精度設計や選定のポイントまで、現場で役立つ視点でわかりやすく解説します。


目次
高さ検出とは?用語の正確な使い分け
高さ検出の議論を曖昧にしないために、まず「何を」「どの概念で」扱うかを揃えます。国際計量用語の整理(VIM)と不確かさ表現の考え方(GUM)が、用語の正確な使い分けには必要になります。
Z軸・基準面・ゼロ点の定義

・Z軸
測定対象(ワーク・工具)の高さを表す方向成分です。工作機械では直線軸の位置決め精度試験が規格化されており、各運動軸を独立して直接測定する枠組みがあります。
・基準面
高さを「相対化」するための基準となる面(例:定盤、マシンテーブル、治具基準面、ゲージブロック上面)です。基準面が揺れる(温度・振動・締結)と、測定値そのものが揺れます。ISO 230-2系の位置決め精度検査でも、温度・湿度・気圧など環境の同時測定と補正が要求されます。
・原点(ゼロ点)
計測系が「ここを0」と宣言する点です。CNCでは工具長オフセットやワークオフセット算出に直結します。例えば工具計測プローブではZ軸方向に工具を移動して工具長を計測する運用になります。
不確かさを区別する概念
不確かさを表現する言葉の定義をおさらいしましょう。
・分解能
VIMでは「測定量の最小の変化で、指示に知覚可能な変化を生じさせる最小変化」と定義されており、ノイズや摩擦、測定値そのものにも依存し得ます。
・測定の正確さ
VIMでは「測定値と真値の一致の程度」であり、概念であって数値で与える量ではありません(「より正確=測定誤差が小さい」という意味です)。
・繰返し性/再現性
VIMではそれぞれ、同一の繰り返し条件、再現性の精度として整理されています。重要なのは「条件」を定義しないと「繰り返し性」が成立しないという点です。
・測定不確かさ
GUM(JCGM 100)では、標準不確かさ、合成標準不確かさ、拡張不確かさ、包含係数などの枠組みで測定結果の「疑わしさ」を表現します。
・トレーサビリティ
日本の計量標準FAQでは「不確かさがすべて評価された切れ目のない比較(校正)の連鎖で国家計量標準に結びつく性質」と説明されています。VIMでも、トレーサビリティは不確かさの妥当性やミスの不存在を保証しない点には注意が必要です。
ISO/IEC 17025とJIS規格が品質監査の基準を定めている

試験・校正機関の能力要求(ISO/IEC 17025)では、試験報告書に不確かさを含めるべき条件が示されており、結果の妥当性や仕様適合性判断に不確かさが関係する場合などが例示されています。国内ではJIS Q 17025として参照されます。また、ダイヤルゲージはJIS B 7503(ISO 463ベース)で設計仕様・計測特性が規定されます。
代表的なセンサ技術の原理
ここでは代表的な計測方式を「原理→利点→欠点→典型仕様レンジ→設置条件→適用例」の順で、現場導入を意識して整理します。数値は「方式の上限」ではなく、メーカー仕様例から読み取れる「実務レンジ」として扱います。
1.接触式
(1)タッチプローブ

原理
プローブ先端のスタイラス球が対象に接触した瞬間(トリガ)を検出し、その時の機械座標(X/Y/Z)を測定値とします。工作機械用途では、プローブの信号伝達(光学・無線等)や測定方向特性、測定圧の低減などが技術的に整理されています。
利点
接触式なので対象の反射率・透明材の影響を受けにくく、ワーク基準面さえ作れれば「測るべき点」が明確になります。過酷な環境(クーラント、切粉)に耐える設計を持つ製品も多いです。
欠点
測定圧・衝突・スタイラスのたわみ、接触点が滑る(曲面や油膜)など、接触特有の誤差要因があります。また、キネマティック(機械接点)方式は方向によって接点が切れるタイミングが変わる「方向特性」が問題になり得ます。
典型的な精度レンジ(メーカー仕様の一例)
- 無線タッチプローブの繰返し精度:1.0 µm(2σ、標準試験条件の例)
- 高精度プローブの単一方向繰返し精度:0.25 µm(2σ、スタイラス条件による例)
- 「繰返し精度」の統計解釈として、2σ=正規分布の標準偏差の2倍で95%水準を意図します
応答速度
CNCの計測サイクルに依存します(機械の送り速度・制御装置の処理時間)。仕様表では試験速度(例:480 mm/min)を前提にした表記が見られます。
設置条件
- 測定方向が変わる用途では、方向ごとのキャリブレーション(ロービング補正)を検討します(プリトラベル変動が許容できない場合)。
- 信号伝達の遮蔽物、電波干渉、冷却液・切粉堆積などへの対策が必要です。
適用事例
工作機械内での芯出し・ワーク寸法計測・工程内検査。
(2)ダイヤルゲージ/インジケータ

原理
接触子の変位を機械的に増幅して指針/目盛で読む(比較測定が主)方式です。製造現場での比較測定用途(基準寸法からの変位読み取り)に広く使われます。
利点
シンプルで安価です。治具さえ整えれば測り方が分かりやすく、JIS B 7503で目量(0.01/0.005/0.002/0.001 mm等)や計測特性が規定されます。
欠点
測定力(押し付け)・ヒステリシス・摩耗・温度に弱く、測定精度は作業者の熟練度に依存します。測定器そのものの精度を保つため、定期的にキャリブレーションテスタ等を使った検査が必要です。
測定レンジ
目量0.01 mmの標準タイプ、0.001 mmの高精度タイプなど、目量のバリエーションがカタログで示されています。
2.非接触式(光学)
(1)レーザ三角測量/レーザ変位計

原理
レーザを対象表面に照射し、反射光が受光素子上に結像する位置の変化から距離変化を算出します(三角測量)。
| レーザ投光 → 対象面で反射 → 受光レンズ → 受光素子(CMOS等)→ 結像位置 → 距離に換算 |
利点
高速・非接触で、ライン上の寸法検査や振動計測にも応用できます。ハイエンドな製品では分解能0.03 µm、測定レート49.14 kHzの仕様があります。
弱点
表面性状(粗さ・反射率・濡れ)によっては、スポット像・強度分布が変わり、同一の高さでも値にばらつきが発生します。粗い金属面では位置により約50 µm(p-p)のばらつきが生じ得るという研究もあり、反射と散乱の制御が重要です。
設置条件の勘所
- 受光が飽和しない角度、外乱光対策、必要なら青色レーザ(赤色より散乱特性が有利なケース)を検討します。
- 測定点が「面内で動く」場合は、スポット径・角度依存が誤差に直結します。
(2)共焦点(クロマティック)方式

原理
照射・受光を同軸にし、焦点が合った光だけを受けることで高さを算出します。白色同軸共焦点(色収差を利用して高さに応じた波長が焦点一致)方式が代表的です。
| 白色光/多波長光 → レンズ群で波長ごとに焦点位置が異なる → 対象面 → 戻り光のスペクトル → 分光/受光 → 最大光量の波長 → 高さ |
利点
材質・色・傾きの影響を受けにくい設計を持ち、安定した波形で高精度測定が可能です。仕様例として、ナノメートル領域の分解能、最大30 kHzの高速測定があります。
弱点
ワーキングディスタンスや光学系の清浄度、表面の散乱条件に依存します(ただしレーザ三角測量より「材質・傾きの耐性」を狙う設計になっています)。
3.非接触式(音響)
(1)超音波距離センサ

原理
音波を送信し、反射が戻るまでの飛行時間(ToF)から距離を求めます。色・透明度・光沢の影響を受けにくいことが特長です。
性能レンジ(仕様例)
超音波距離センサのデータシートでは、分解能(例:≥0.069 mm)、繰返し精度(例:±0.15%)、測定精度(例:±1%)、応答時間(例:64 ms)などが示されています。
利点
透明な物体や、鏡のような光沢を持つ「光学式が苦手とする対象物」に強く、汚れにも比較的強い傾向があります。ただし、測定する環境の温度により音速の変動があるため、温度補正機能の有無が重要です。
弱点
応答が光学より遅い(数十ms〜)ことが多く、風・温度変化・対象形状(斜面)で反射が安定しない場合があります。
4.非接触式(電磁)
(1)静電容量式変位センサ

原理
理想平板コンデンサをモデルに、センサとターゲット間距離に応じて静電容量(交流電圧振幅等)が変化することを利用します。導電ターゲットだけでなく、配線条件によっては絶縁体の距離・厚さ測定にも使えます。
性能レンジ(仕様例)
ナノメートルレベルの繰り返し性、高帯域幅、高精度・安定性などが実現できます。
利点
小レンジで非常に高精度・高速で、磁界の影響を受けにくいです。
弱点
基本的にギャップが小さく、汚れ・水膜・油膜・配線(ガード、シールド)の影響が無視できません。そのため、導入には治具設計の段階でセンサの位置を細かく調整し、外的要因による誤検知などを最小限にすることが重要になります。
(2)渦電流式変位センサ(誘導)

原理
コイルに高周波電流を流して磁場を作り、金属ターゲットに渦電流を誘起し、その結果としてのセンサインピーダンス変化を距離に換算します。
利点
油・粉塵・水など過酷環境での使用に向いており、高速応答で振動測定にも展開しやすいです。
弱点
金属限定で材質・温度の影響を受けるため、材質合わせの校正が重要です。
(3)近接センサ(有無検出〜簡易距離)
位置づけ
近接センサは物体の接近・有無を非接触で検出する総称で、誘導形・静電容量形などの方式に分類されます(厳密にはスイッチ用途が中心です)。誘導形の動作原理(発振回路の減衰/停止)については各メーカーの技術資料で詳しく説明されています。
実務ポイント
高さの「測定」というより「Z限界の検出」「高さの段取り確認」「ワーク有無のインタロック」など、工程の安全・安定化という面で威力を発揮するので、高速応答や耐環境性が主な特長です。


5.距離画像・スキャン
(1)LiDAR(2D/3Dスキャン)

原理
レーザの飛行時間(ToF)を測り距離を得て、光学系を回転させてスキャンします。測域センサ(LiDAR)の基本動作は飛行時間測定と水平スキャニングの組み合わせです。
性能レンジ(仕様例)
- 産業用2D LiDARの例:測距精度±40 mm、繰返し精度σ<20 mm、測定分解能1 mm、走査時間25 ms(2400 rpm)など
- 別の2D LiDAR例:系統誤差±60 mm、統計誤差<20 mm、応答時間(1スキャン)67 msなどの仕様値
利点
AGV/ロボットの環境認識や、はみ出し検知・存在検知など「範囲」を扱う用途に強く、AGVやSLAM用途に適しています。
弱点
mm〜cm級の距離誤差が前提のため、寸法検査などの「µm級の精度」が必要な用途には不向きです。また外乱光(太陽光直射)の影響を受けやすく、環境による制約が生じます。
(2)カメラ+画像処理(3Dビジョン、ToFカメラ、ステレオ、構造化光)

原理の代表例
- ToFカメラは光の飛行時間を使って距離を測る方式です。
- 物流・ロボット用途向けToFカメラの動作距離(最大6 m)やフレームレート(例:30〜44 fps)などが実用例として示されています。
- バラ積みピッキングの事例では、レーザ三角測量を距離センサとして採用し、2次元スキャンで3次元形状情報を得る構成になっています。
- ステレオビジョンでは2台のカメラから物体位置を推定する機能があります。
評価の勘所
カメラ系の「高さ」は、単点変位の保証より、点群の品質(欠損点、外れ値、反射ハレーション、キャリブレーションドリフト)で効いてきます。ロボットハンドリングでは「把持可能性」がKPIになりやすく、μm精度よりも、死角・速度・AI/認識パイプライン・治具許容で設計します。
6.干渉計(超高精度領域)
(1)レーザ干渉計(機械校正・測長器)

工作機械やCMMの軸精度評価や校正で使われます。位置決め精度検査ではISO 230-2/JIS B 6192に基づく試験が行われ、レーザ干渉位置計測システム(レーザ測長器)を用います。
仕様例として、位置決め測定精度±0.5 ppm、分解能1 nm、サンプリング50 kHzなどがあります。この方式は温度・気圧・湿度がレーザ波長と測定値に影響するため、環境補正が必須です。
(2)白色干渉(表面形状・微細段差)

白色干渉顕微鏡では、参照ミラーと試料表面からの反射光の干渉縞を高さ情報に変換して3D表面形状を取得します。垂直分解能として0.1 nm〜1 nmが実現できます。干渉縞強度が最大となる位置(高さ)を計測することで高い垂直分解能が得られます。
技術比較表と用途別の選び方
技術比較表
下表は、方式ごとの現場で役立つ差分に寄せた比較です。精度欄は方式の一般論ではなく、代表的な公開仕様値・資料に基づく目安です(測定レンジが広いほど一般に精度が悪化します)。
| 方式 | 原理の要点 | 典型精度/分解能の目安 | 応答・速度の目安 | 設置・対象の制約(典型) | コスト目安 | 適用例(具体) |
| タッチプローブ(工作機械) | 接触トリガ時の機械座標を読む | 繰返し精度 1.0 µm(2σ)〜0.25 µm(2σ)例 | CNC計測サイクル依存(試験条件例あり) | 測定圧/衝突、方向特性、クーラント・切粉 | 中〜高 | ワーク芯出し、寸法計測 |
| 工具計測(接触式ツールセッタ) | 工具をスタイラスにZで当てる | 装置+機械依存、比較的µm級運用が多い | 加工サイクル内で実施 | 切粉堆積、スタイラス摩耗、衝突 | 中 | 工具長計測、工具折損 |
| ダイヤルゲージ | 接触変位を機械的増幅で指示 | 目量0.01〜0.001 mmの例、JISでMPE規定 | 手作業中心(準自動も可) | 測定力・作業者差・治具剛性 | 低 | 段取り高さ合わせ、比較測定 |
| レーザ三角測量(変位計) | 結像位置変化→距離換算 | 分解能0.03 µm例、表面でばらつき増大例あり | 〜49.14 kHz例 | 反射/粗さ/外乱光、角度、汚れ | 中〜高 | インライン段差、振動、位置制御 |
| 共焦点(クロマティック) | 焦点一致光(波長)→距離 | ナノメートル領域分解能例 | 〜30 kHz例 | 光学窓汚れ、WD、反射条件 | 高 | 透明体距離、薄膜/段差、精密検査 |
| 超音波距離 | 音波ToF | 分解能≥0.069 mm例、精度±1%例 | 応答64 ms例 | 温度・風、斜面反射、近距離不感帯 | 低〜中 | 透明容器検出、レベル/距離 |
| 静電容量変位 | コンデンサとして距離→電気量 | ナノメートル級繰返し性 | 高帯域幅 | 小ギャップ、汚れ/水膜、配線設計 | 高 | 厚み/ギャップ、精密位置 |
| 渦電流変位 | 渦電流→インピーダンス変化 | 用途によりµm級〜、材質依存 | 高速応答 | 金属限定、材質/温度で校正要 | 中〜高 | 回転体振れ、ギャップ監視 |
| 近接センサ(スイッチ) | 誘導/静電容量などで非接触検出 | 有無中心(アナログは別途) | 高速応答 | 定格距離、対象材質、誤動作対策 | 低 | Zリミット、ワーク有無 |
| 2D LiDAR(測域) | 光ToF+スキャン | 測距精度±40 mm例、σ<20 mm例 | 走査25 ms例、応答67 ms例 | 外乱光、反射率、用途はcm級 | 中 | AGV、侵入/はみ出し検知 |
| レーザ干渉計(測長器) | 光干渉で微小変位 | ±0.5 ppm、分解能1 nm例 | 〜50 kHz例 | 環境補正必須、アライメント | 非常に高 | 工作機械校正、軸誤差測定 |
| 白色干渉(顕微) | 干渉縞→表面高さ | 垂直分解能0.1〜1 nm例 | 走査・解析依存 | 主に検査室、表面状態 | 非常に高 | 微細段差、表面粗さ3D |
用途別の選び方
工作機械での工具長測定・工具折損(Z方向)
接触式
工具計測プローブは、工具長計測時にZ軸方向へ工具を移動させるという使い方が主流で、加工サイクル内に組み込みやすいのが大きな特徴です。
非接触式
レーザ式ツールセッタは工具がビームを遮断したことから工具先端位置等を判定します。繰り返し精度が高く、製品によっては±0.5 µm(2σ)などの性能があります。バリアエア品質(BS ISO 8573-1クラス1.4.2)や定期点検(光学部品の汚れ確認)などの保全設計が重要です。
組立ライン|部品高さの合否判定(mm〜サブmm)
透明材・光沢材が混在するなら超音波(ToF)が候補となります。超音波は色・透明度の影響を受けにくいという利点はありますが、応答(例:64 ms)と精度(±1%例)を工程設計に織り込む必要があります。
反射条件が安定しているならレーザ三角測量で高速化が可能ですが、粗面・反射でばらつく可能性があるため、事前にサンプル評価を行います。
品質検査|微細段差・表面形状(µm以下〜nm)
nm級の垂直分解能が必要なら白色干渉計が候補になります。
生産ラインで「高精度・高速」を両立したい場合は、共焦点(クロマティック)や静電容量がおすすめです(静電容量は治具と環境管理が主要課題になります)。
ロボットハンドリング(バラ積み・環境認識)
μm精度より、点群の欠損に強い三角測量スキャンやToFカメラ、ステレオなどの「距離画像」が中心になります。距離センサで3次元計測しCAD照合するバラ積みピッキングが代表的な方式です。
AGVや広域監視は2D LiDARの得意領域で、走査時間(25 ms)などリアルタイム性を確保しやすいのが特徴です。
導入の成否は定義・設計・検証・保全の一連のプロセスで決まる
ISO 230-2系の位置決め精度検査でも、環境安定や事前準備(24時間以上の設置、温度安定、清掃など)が要求されており、計測は段取りが重要です。
<導入フロー>
| 要求仕様の確定 → 測定モデル定義 → 方式選定(接触/非接触)→ 治具・取付設計(Abbe/剛性/アクセス)→ 電気・通信設計(ノイズ/接地/同期)→ 校正・基準器設定 → 検証(繰返し/再現性/不確かさ)→ 運用(点検・清掃・交換・監査対応) |
要求仕様を文章で定義することが選定精度を左右する
最低限、次の項目を文章で定義します。
- 測定対象(工具先端、ワーク上面、特定フィーチャの最高点など)
- 測定レンジ(例:±5 mm、0〜600 mm)
- 許容誤差(合否判定のガードバンドを含む)
- 必要サイクル(例:1点10 ms以内、1ワーク2秒以内)
- 環境(油、水、粉塵、外乱光、温度変動、振動)
- トレーサビリティ要求(顧客要求、監査要求)
このとき「分解能」と「必要精度」を混同しないことが重要です(VIMの定義に基づきます)。
測定モデル設計(基準の取り方)
基準面をどう作るか
治具基準なのか、機械テーブル基準なのかを決めておきます。温度変化がある場合、基準面と測定対象の熱膨張差が高さにそのまま出ます。ISO 230-2系の検査でも温度や気圧などの影響が強調されています。
Abbe(アッベ)誤差の回避
測定系の基準線と実際に測りたい点が横にずれていて、角度誤差があるとAbbe errorが増幅します(測定の基本として、変位の「垂直な延長線上」に置くべきという原則があります)。
機械・電気・ソフトの設計
機械設計
非接触光学は、切粉堆積が起きない場所・振動衝撃が少ない場所に設置します。具体的なガイドラインがメーカー資料に示されています。
LiDARは外乱光直射回避など、仕様注記がそのまま設計要件になります。
電気設計
工作機械周辺はノイズの発生源が多いため、配線の取り回し(大電流ケーブルから離す、シールド接続、集中アースなど)によるノイズの回避が必要です。
ソフト設計
しきい値判定(工具がビームを遮る瞬間)型は、エアブローでクーラントを確実に除去することが推奨されており、ソフトだけでなく「物理前処理」が精度を左右します。
データ平滑化(移動平均、ローパス、メディアン)は分解能を改善する魔法ではなく、遅れと外れ値抑制のトレードオフです。過度なフィルタで「見かけの分解能」だけ上げても正確さは上がりません。
繰返し・再現性・不確かさの検証
繰り返し性
同一条件で同じ点を何回測るか(短時間で)。VIMの繰り返し条件の定義に沿って条件を固定します。
再現性
作業者・場所・時間帯・治具締結などを変えて、どこまで揺れるかを確認します。
不確かさ
GUMに従い、主要因(温度、校正器、分解能、繰返し、治具、直角度など)をモデル化して合成します。


校正とトレーサビリティ
トレーサビリティは目的に対して十分な不確かさなのかを別途レビューする
トレーサビリティは「不確かさが評価された校正の連鎖」で国家計量標準に結びつく性質であり、JCSS体系がその国内的な枠組みです。ただしVIMでも、トレーサビリティが「不確かさが目的に十分」であることや「ミスがない」ことを保証するわけではありません。現場では「目的に対して十分な不確かさか」を別途レビューすることが重要です。
方式ごとの校正アプローチを正確に理解して運用する
タッチプローブ
繰り返し精度が良くても、方向特性やプリトラベル変動が誤差要因になります。プリトラベルが大きすぎる場合は、方向ごとにキャリブレーションが必要になります。
レーザツールセッタ
メーカー手順に沿ったアライメント、キャリブレーションツール使用、エア品質維持が必要です。繰り返し精度(±0.5 µm 2σなど)も条件付きで示されます。
ダイヤルゲージ
校正結果にはJIS B 7503に規定する全測定範囲指示誤差などを含めます。校正器(キャリブレーションテスタ等)を使った検査体系が前提です。
超音波
温度補正機能付きの仕様が必要です。環境変動により誤差が出るため、補正機能を活用します。
レーザ干渉計(測長器)
温度・気圧・湿度で誤差が出るため、環境補正ユニットによる補正が必須です。
よくあるトラブルと対策
値が安定しない(ふらつく)
まず「繰り返し条件」が崩れていないか(温度・固定・汚れ・ケーブル引張り)を点検します。フィルタを強くする前にノイズ源を潰すことが先です。
オフセットがずれる(ゼロが漂う)
基準面の移動(熱変形、締結の緩み)を疑います。工作機械の位置決め精度要因として温度変化や振動が主な原因として挙げられます。
光学式で突然測れない
汚れ・反射飽和・外乱光が典型的な原因です。LiDARや非接触ツールセッタは外乱光と汚れに関する運用要件を満たしているかを確認します。
接触式で値が飛ぶ
スタイラスの摩耗・曲がり、測定圧の変化、接触点の滑り(油膜、曲面)を疑います。測定方向特性の議論があり、方向が不特定だと補正が難しい場合があります。
高さ検出の精度を支えるタッチスイッチ

ここまで、高さ検出における各方式の原理・精度・選び方を整理してきました。精度を突き詰める局面で、接触式センサという選択肢も改めて検討に値します。
接触式センサは、反射率や透明材の影響を受けにくく、基準面さえ作れれば「測るべき点」が明確になるという特長を持ちます。光学式が苦手とする表面性状や環境条件でも安定した検出が可能で、導入・運用の見通しが立てやすいのも利点です。
メトロールの高精度位置決めタッチスイッチは、工作機械・ロボット・治具などの位置決めやワーク有無検出に使用される接触式センサで、繰返し精度±0.5 µmを実現しています。技術比較表で整理したタッチプローブと同じ接触式の思想に基づきつつ、治具や機械テーブルへの組み込みを想定したシンプルな構成が特長です。
製品ページはこちら:https://www.metrol.co.jp/positioning-switch/
メトロールの位置決めセンサの製品ラインナップ
高精度位置決めタッチスイッチ(位置決めセンサ)
接触式の高精度スイッチで、工作機械やロボット、治具などの位置決めやワーク有無検出に用いられます。最大繰返し精度0.5µmと極めて高精度で、IP67の防水防塵性能を備え、悪環境下でも安定動作します。200種類以上の標準モデルがあり、狭所対応、高温対応、真空対応、低接触力タイプなどバリエーションが豊富です。
ツールセッタ(工具長測定センサ)
CNC工作機械や産業用ロボットに搭載し、工具長の測定や原点位置出し、工具折損検知などに使用される接触式センサです。工具の長さや摩耗、熱変位を機内で自動測定・補正することで加工不良を防止し、段取り時間を大幅短縮します。世界74ヵ国で50万台以上の出荷実績があるメトロールのベストセラー製品です。
タッチプローブ(機上測定プローブ)
工作機械やロボットに搭載し、加工前のワーク位置決め(芯出し)や加工後の寸法測定を自動で行う機内計測用の接触式プローブです。繰返し精度1µmでワークの基準出し・寸法検査を自動化し、熟練者の手作業を置き換えることで段取り時間短縮や加工不良防止に貢献します。有線式と無線式(ワイヤレス)のモデルがあり、5軸加工機やロボットへの後付けニーズにも応えています。
エアマイクロセンサ(空圧式センサ)
空気圧を利用した非接触センサで、ワークの着座状態を数ミクロン精度で検出できます。従来は困難だった10µm以下の隙間(「浮き」)を±0.5µmの繰返し精度で検知し、ワークと治具の密着不良による加工不良や設備のダウンタイムの発生を防止します。半導体製造プロセスや精密部品のクランプ工程、研削盤の砥石位置合わせなどで活用され、国際標準のIO-Link通信にも対応したスマートセンサです。
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超小形高精度PT-タッチスイッチ
小型ながら高い繰返し精度を発揮。
φ5㎜の超小型でも繰返し精度1μmでスペースの狭い場所などで多く採用されています。

高精度MT-タッチスイッチ
MTシリーズは当社の中でも最も精度の高いシリーズ。
サイズ感はやや大きくなりますが、内蔵された「ベアリング軸受け」により、繰返し精度0.5μmと高精度を発揮します。




